吉川さおり 参議院議員(全国比例)

国会質疑録

第171通常国会/災害対策特別委員会 議事録(2009年4月1日)

2009年4月1日

4. 学校耐震診断実施率と補助金制度設計の必要性

○吉川沙織君

今までは、実際に運用されている緊急地震速報と
全国瞬時警報システム、Jアラートについてお伺いを
してまいりました。ここからは、震災等から想定される
状況への対応ということで、学校の耐震診断の状況に
ついてお伺いをさせていただきたいと思います。

学校は、防災拠点となる公共施設のうち学校の占める
割合が6割に及ぶこと、そして日中は生徒がその大半を
過ごす場所であること、耐震化が必要か否かの判断には
耐震診断が必要不可欠であることを考えると、やはりこれは
まず耐震診断がなされなければ、耐震化が必要かどうかも分かりません。

昨年5月に発生した四川大地震を受けて、昨年の6月に
地震防災対策特別措置法が改正をされました。その後の
耐震診断の実施状況について把握を行っていらっしゃるか、
文科省にお伺いいたします。

○政府参考人(岡誠一君)

お答えいたします。
20年4月1日現在、昨年の公立学校施設の耐震診断
実施率は93.8%でございました。先生今御発言ありましたように、
昨年6月に地震防災対策特別措置法が改正されまして、地方
公共団体に対し公立小中学校施設の耐震診断の実施が義務
付けられたところでございます。

こうしたことを受けまして、文部科学省では、各市町村に対し
数次にわたる通知を行うとともに、個別に市町村を訪問するなど、
あらゆる機会を通じまして小中学校施設の耐震診断について
速やかに実施を求めてきたところでございます。

こうしたことを行ってきたわけでございますけれども、
20年度中に実施された耐震診断を含みます最新の
耐震診断の実施状況につきましては、21年の4月1日現在の
状況を今調査しているところでございます。

○吉川沙織君

今、数次にわたる通知の発出、それから個別に小中学校等を
訪問して対応なさっているという御答弁がありました。昨年の
12月8日に文部科学省通知で、耐震診断について、遅くとも
平成20年度中、つまり昨日でございますが、平成20年度中には
事業化されるようにすることと要請をしておりますが、この文言に
ついても調査中ということでよろしいんでしょうか。

○政府参考人(岡誠一君)

先生おっしゃった20年度中につきましても、現在、21年4月1日
現在の耐震状況について調査を行っているというところでございます。

○吉川沙織君

いつごろ発表されるんでしょうか。

○政府参考人(岡誠一君)

調査でございますけれども、4月1日現在調査を行いまして、
今年の6月中旬ごろの発表を予定しているところでございます。

○吉川沙織君

耐震診断が法改正によって義務付けされたということも
ございますので、しかも昨年12月8日に文部科学省として
通知を出されているわけですから、一刻も早くそのことが
達成できたのかどうか確認をしていただきたいと思っています。

昨年4月の当委員会においても、私、耐震診断について
質問をさせていただきました。その際に、いつまでに耐震診断を
完了される予定なのかという私の問いに対して、答弁は残念ながら
いただけませんでした。昨年4月と現在では、耐震診断が
法律によって義務化されるなど状況が大きく異なっております。
是非御答弁をいただければと思います。

○政府参考人(岡誠一君)

今、何度も申し上げて申し訳ございませんけれども、
本年4月1日現在の耐震診断の状況について調査を
行っているところでありまして、その結果、耐震診断を
実施していない市町村があれば早急に完了させるよう強く
実施を求めていきたいと考えているところでございます。

○吉川沙織君

昨年に引き続き、今年も答弁をいただけない。
是非もう少し、もう一声お願いします。

○政府参考人(岡誠一君)

私どもも強く耐震診断の実施を求めているところでありまして、
今回の4月1日現在の調査では、その強く求めている
状況を受けて市町村の耐震診断実施率がかなり上がるもの
というふうに考えているところでございます。

○吉川沙織君

資料を拝見いたしますと、平成20年度末見込みの
数字ですね、97.1%、これ小中学校で97.1%です。
でも、昨年の法律の改正によって、これ学校施設ですから、
小中学校、幼稚園、高等学校、特別支援学校、すべて
含まれることになります。小中学校に関しては確かに
上がっています。

でも、幼稚園を見ると、平成20年4月現在で74.9%、
20年度末の見込みでも81.2%という状況がありますので、
是非ともまず耐震診断を何とか100%%に近づけていただきたいと
思っております。

でも、仮に耐震診断が100%になったとしても、まだまだ
不十分な状況が残っていると言わざるを得ません。なぜならば、
耐震診断の実施率というものには、簡易に行える優先度調査、
これ10万から20万で行えるものですが、これも含まれています。

耐震診断の実施の前提となる二次診断の実施率ではないから
これも含まれているということになりますが、二次診断の実施率、
実施状況についてお伺いいたします。

○政府参考人(岡誠一君)

お答えいたします。
これも一年前のデータになりますけれども、平成20年
4月1日現在の公立小中学校施設の第二次診断の
実施率は62.8%でございます。

○吉川沙織君

簡易なものに関しては10万から20万ですが、今、
62.8%と御答弁いただいたこの二次診断、この二次診断を
実施するためには一棟当たり2、300万要すると言われています。

この2、300万を要するということになれば、複数の
学校施設について二次診断を実施する場合、相当の費用が
掛かることになります。文部科学省の安全・安心な学校づくり
交付金では、工事とセットでないと耐震診断の経費は補助されません。
耐震診断のみでも補助がなされるよう制度設計を変更をされる
必要があるかと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(岡誠一君)

お答えいたします。
先生お話ありました耐震化の予算であります安全・安心な
学校づくり交付金は、建設公債発行対象経費でございまして、
資産を形成することを前提としております。

一方、耐震診断に要する経費は、それのみで資産を
形成するものでないことから、交付金において補助の
対象とすることは難しい状況でございます。しかしながら、
耐震化事業を行った際は、当該実施年度以前に実施した、そのとき
ではなくて以前に実施したものも含めて耐震診断経費も補助の対象としております。

また、補助事業と切り離して耐震診断事業のみを国庫補助の
対象とするものとしましては、国土交通省所管の住宅・建築物耐震
改修等事業を活用することが可能でございまして、国土交通省と連携し、
市町村に対し活用を促しているところでございます。

さらに、平成20年度第二次補正予算に計上されました
地域活性化・生活対策臨時交付金等は地方単独で行う
耐震診断のみへの充当も可能となっておりまして、文部科学省と
しましては、市町村に対し本交付金の活用を促したところでございます。

○吉川沙織君

今長々と御答弁を詳しくいただきましたけれども、
国土交通省と総務省において利用できる補助金が
あることは調べて知っておりました。特に、総務省の分は、
平成20年度の二次補正で、平成21年の2月12日の
総務委員会で総務大臣が答弁されて、ああ、これも使えるんだ
ということは私も総務委員ですから理解をいたしております。

しかしながら、安心、安全な学校をつくる所管である文科省に
おいて使い勝手が悪いとしか言えない補助金しかないのは
やっぱり不十分ではないかと思います。だからこそ制度設計を
見直すことは検討するに値すると思うんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(岡誠一君)

先ほど申し上げましたように、私どもの安全・安心な学校づくり
交付金でございますけれども、確かに、交付金の事業をしなければ
耐震診断経費は出ないという形にはなっておりますけれども、
地震防災緊急事業五箇年計画に計上していた事業に係る
耐震診断経費につきましては前々年度より前の支出についても
工事費に算入できるという形になっておりまして、かなり幅を持って工事と
一緒に耐震診断経費を支弁できるというふうに考えているところでございます。

○吉川沙織君

結局は、工事をしない限り補助は出ないということだと思います。
国土交通省に使える補助金がある、総務省でも使えるものがあると
いっても、おひざ元の文科省で使い勝手が、工事とセットでないと
できないというのであれば、やはりこれは検討に値する、改善に
値するものではないかと思っています。