議院運営委員会
前内閣総理大臣の申し出により、閉会中ですが、衆参両院の議院運営委員会を開会しました。
前内閣総理大臣の申し出とは、立法府において、内閣総理大臣の任にある間、事実と異なる答弁を少なくとも118回繰り返したことを受け、前総理が申し開きの場を求め、12月24日に衆参両院議長に申し入れを行ったものです。
下記が、その申し入れです。
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「答弁訂正に関する発言の申出について」
私が、本会議及び委員会において、内閣総理大臣として行った答弁について、事実と異なる部分があることが判明いたしましたので、答弁を訂正する発言を行わせて頂きたいと存じます。お取り計らいのほど、よろしくお願い申し上げます。
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この申し出を受け、急きょ、議院運営委員会理事会が当日招集で開会され、翌25日、立法府で前総理の弁明の機会をつくることとしましたが、その理事会の場で、私から強く申し上げたことを記したいと思います。
その前に、会議録自体を訂正すれば良いのではないか、と考える方もいらっしゃるかと思いますが、これは参議院規則第158条や参議院先例386により不可能です。
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〇参議院規則第158条
発言した議員は、会議録配付の日の翌日午後5時までに発言の訂正を求めることができる。但し、訂正は字句に限るものとし、発言の趣旨を変更することができない。国務大臣、内閣官房副長官、副大臣、大臣政務官、政府特別補佐人その他会議において発言した者について、また、同様とする。
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法規によって、会議録自体の訂正はできません。
それを承知のうえで、訂正する場を立法府に求めてこられたのですから、せめて、これまでの立法府での発言(答弁)において、何月何日のどの本会議・委員会でのどの発言が事実と異なる部分であり、どの発言について訂正を求めたいのか明らかにすべきなのです。
よって、どの発言について訂正を求めるのか、まずそれが分からないと質疑の前提が調わない旨、議運理事会で繰り返し述べ、翌25日の委員会開会までに資料として提出するよう求めました。
しかしながら、翌25日の委員会までにどの部分について訂正を求めたいのか明らかにする資料は提出されず、当日の理事会前や議運理事会においても何度も与党に求めました。
参議院は基本的に熟議の府であり、後議の院でもあります。
今般の前総理の弁明の機会の議運委員会においても同様で、衆院の委員会が先に開会され、参院はその後でした。
当日の参院議運理事会は、衆院の委員会後に開会されましたので、衆院の議論を踏まえて私はその場に臨みました。
衆院での前総理の説明はどこを訂正したいのかまったく説明がなかったにも関わらず、衆院の最後の質疑者に対し、「どの答弁が間違っていたかということについては、最初、冒頭述べさせていただきましたので、答弁を訂正させていただいたところでございます。」とさらに事実と異なる答弁を繰り返したことを指摘し、参院ではどの部分を訂正するのか説明するよう強く求めました。
しかしながら、前総理の説明は衆院とほぼ一緒で、どの部分を訂正したいのか、まったく説明がなかったのです。
委員会までに繰り返し繰り返し訂正箇所の提出を求め、説明を求め続けたにも関わらず、説明がなかったことから、致し方なく場内協議に臨むしかありませんでした。
結果として、前総理の二度目の発言と委員長から注意を促していただくことはできましたが、どの部分について訂正を求めたのかは明らかになっていません。
国会の会議録は、我が国が存在する限り参照され続け、憲法第57条にも規定がある大切なものです。
立法府において、行政府の長(前総理)が繰り返し事実と異なる答弁を重ねたことは、看過し難い事実です。
せめて、どの部分が事実と異なる答弁であったのか、後世に残すことができるよう、引き続き協議を続け、明らかにする努力をする所存です。