吉川さおり 参議院議員(全国比例)

活動記録

運輸労連政策議員懇談会

2022年12月2日

今夏の第26回参院選後初となる運輸労連政策議員懇談会が開かれ、新規加盟議員の紹介や政策課題の進捗状況について運輸労連からヒアリングを行いました。

政策課題については、改善基準告示の見直しと宅配便事業を中心とする規制改革及び貨物軽自動車運送事業(軽貨物運送)の拡大について概要をおうかがいしたのですが、今回は後者について紹介したいと思います。

2022(令和4)年10月24日、国交省自動車局貨物課から「貨物軽自動車運送事業における軽乗用車の使用について」規制緩和する旨、通知が発出されています。

現在、貨物軽自動車運送事業における車両については2006(平成18)年8月28日の国交省通達において、「届出に係る軽自動車(二輪除く)の乗車定員が貨物軽自動車運送事業の用に供するものとして不適切なものでないこと」と規定されています。

しかし、2022(令和4)年6月7日閣議決定の規制改革実施計画の中で、「イノベーションや地域の課題に応えるラストワンマイル配送の実現」として、「貨物軽自動車運送事業で使用できる車両が軽貨物車に限られている運用について、軽乗用車の使用を可能とする検討に着手し、結論を得次第、速やかに必要な措置を講ずる」とされました。

その結果が、10月24日の通達発出であり、その施行は10月27日とされたのです。

これらが目指すことは、軽乗用車まで運送事業に使えるようにすることで貨物事業への参入障壁を下げ、配送の担い手を増やすことにあるのだと思いますが、一方で、貨物「軽自動車」運送事業者数の急増に伴う事故の増加にも留意しなければなりません。

2022(令和4)年6月19日付読売新聞によれば、「軽貨物車、5年で重大事故8割増、大半が宅配委託の個人事業主」とし、新規参入が届出だけ、1人での営業も可、事故の国への報告も不要とされる黒ナンバー車が原因で死者や重傷者が出た重大事故が、2021(令和3)年までの5年間で8割増えたとされています。

全体として交通事故総数が減る中で、事業用軽貨物車(黒ナンバー車)による事故が急増していることは憂慮すべき事態であり、まずは正しい実態把握こそが必要な事案だと捉えています。

以前、コラム「失われた30年」でも書きましたが、お客様に時間指定で荷物をお届けしても持ち戻りが多いこと、ネット通販による宅配便の取扱個数は急伸していること等も無関係ではありません。

私は学部時代の4年間、週6日早朝時間帯にひたすら荷物の仕分けとトラックへの積み込み作業を行っていましたので、その経験から日用品等は自分で動ける限りは直接買い求めるつもりですが、最近はクリック1つで購入される方が増えており、それが宅配便の取扱個数の急伸につながり、ラストワンマイルの配送担い手不足も招いていると考えています。

上述の10月の通達で、今後は届出さえすれば、軽乗用車までも運送事業に使えることとなります。人命にかかわる事故の増加につながるかもしれず、なんでもかんでも規制緩和という流れはいかがなものか、との思いでいます。

本件に関して、国交省は安全管理や労務管理の十分な確保が前提であるとして、規制緩和には慎重な態度をとっていますが、規制改革推進会議等では、軽乗用車(白ナンバー)による規制緩和の議論が進められてしまったのです。

働き方改革への影響はもちろん、個人ドライバーの収入確保を優先する心理などにより、交通事故の多発が危惧されます。

活動記録