吉川さおり 参議院議員(全国比例)

活動記録

阿南発電所視察 2015年03月14日

2015年3月14日

徳島・阿南発電所は、昭和36年に当時の高度
成長期に呼応して急増する電力需要に対し、四国
東部の供給力を増強するために建設された発電所
です。

阿南発電所は、1号機から4号機まであり、最初に
運用開始された1号機は昭和38年7月から、4号機は
昭和51年12月からとなっており、4号機の運用開始
年は、私が生まれた年と同じです。

1・2号機は稼働状況や運転の維持管理コスト、設備の
老朽化を踏まえ、長期計画停止の運用に入っていました。

しかし、4年前の東日本大震災を受け、原子力発電所の
停止に伴い、電力需給が厳しいこともあり、平成23年12月、
2号機は運転再開をしています。

昨年4月に閣議決定されたエネルギー基本計画の中でも、
震災後は電事法に基づく電気の使用制限や、節電要請等の
電力需給対策が講じられた結果、電力の需給バランスは維持
されているものの、老朽火力発電所を含め、火力発電をフル
稼働させることで補っている状況であることが指摘されています。

老朽火力発電所の稼働に頼らざるを得なくなることで、
発電施設の故障等による電力供給不足に陥る懸念も
あることから、四国電力・電力総連の皆さまにご協力
いただき、老朽火力発電所の実情を視察しました。

上述した阿南発電所の2号機も40年を超える、いわゆる
老朽火力発電所に該当します。資源エネルギー庁がまとめた
老朽火力発電所の割合とトラブル件数を概観すると、運転開始
後40年以上の火力発電所のトラブルは増加傾向にあります。

今後のエネルギーの在り方を考える際、どのような電源
構成にするのか、また現在の電力供給がいかなる努力の
うえになされているのか、今回の視察を経て、深く考える
契機となりました。

資料等で課題は把握しているつもりでしたが、老朽
火力発電所の現状と課題について、今回の視察で、
実感を持って理解することができました。

・火力と太陽光のバランスの在り方と課題
・燃料タンクの運用方法改善の現状、消防法との関係
・老朽火力(2号機)を稼働させることによる人員増配置の必要性
・発電所運転状況、総合設備利用率の推移と現状
・現在の供給バランスと予備力との関係
・石油火力発電所(阿南)と石炭火力発電所(橘湾)のコストと現状
・老朽火力不具合時の制御品等調達に係る課題
・原子力発電所と電気料金との関係

上述の点は、今回の視察で気になったポイントを箇条書き
にしたもので、全てに関して詳述したいのですが、上記から
1点だけ紹介したいと思います。

阿南発電所の発電所総合設備利用率推移を概観してみます。

平成22年度 3.0% (東日本大震災発生)
平成23年度 15.3%
平成24年度 27.5%
平成25年度 32.0%

平成23年12月には、本来休止中の2号機を稼働させるなど、
上記の利用率の推移は、老朽火力を動かして、四国の電力
需給に対応してきた証左ですが、平成25年度の32.0%は、
昭和52年度の33%に匹敵する数字だそうです。

昭和52年度は、火力発電全盛期ですので、火力発電全盛期
と同等の稼働状況で電力需給バランスを保っていることが数字
から見て取れます。

メンテナンス等にもコストが相当かかり、昨年末には人的
被害は免れたものの配管腐食による事故も発生するなど、
様々な課題が山積しています。今後のエネルギー問題を考える
うえで、そして、法案審議に臨むうえで大事な視点を得ることが
できました。

今回の視察にご協力をいただきました皆さま、
この場をかりて心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

活動記録