吉川さおり 参議院議員(全国比例)

コラム

緊急雇用対策の必要性

2008年12月8日

「規制緩和」の名(御旗)の下、
かつての政権は様々な規制緩和政策を推進してきました。

その中には、雇用関係法制も含まれています。

~働き方の多様化~と聞こえは良いものの、結局は
正社員を非正規社員に置き換えることを促進しただけの、
人件費削減そのものに他なりませんでした。

今、年末を越せないかもしれない、将来の展望が全く見えない
状況に置かれるかもしれない、そんな状況を多くの人に強いることに
なってしまったのは、規制緩和による雇用政策の結果です。

私が就職活動をしたのは1998年ですが、その前年に
山一證券が破綻し、今と同じように採用内定取り消しが
社会的問題として取り上げられました。

しかし、今の状況は10年前よりさらに深刻です。
10年前は、内定取り消しが問題になったとしても、
派遣労働の雇い止めや解雇により、住まいも仕事も失う、
という事態は報じられなかったからです。

このような状況が発生する原因をつくったのは、言うまでもなく
上述した規制緩和による雇用関係法制の柔軟化によるものです。

私が会社に就職した1999年に、労働者派遣法は適用対象業務が
原則自由化され、2003年改正時には、物の製造業への労働者派遣が
解禁されました。

現在の景気状況になるまでは、生活面で全く実感が伴わなかったものの
いざなぎ景気越えと言われる状況下で、雇用数自体は伸び続けていました。

ですから、今起こっている雇い止めや解雇による住まいと仕事の喪失
問題等は10年前には想定できなかった事態、もしくは今のような不況に
さらされて、初めて表面化する問題であったことに違いはないのです。

一方、採用内定取り消しについては、その学生の人生を左右する問題です。
なぜなら、「新卒」の肩書きが使えるのは、一生に一度だけだからです。

「新卒」という肩書きを活かして、学生は各企業に資料請求をして、
会社説明会に出席し、興味を持てば選考に臨むこととなります。

幾つか内定をもらえば、遅くとも10月1日までには1社に絞り込み、
内定式を経て、卒業後の4月1日から社会人としてのスタートを切ることになります。

しかしながら、内定取り消しという事態になれば、卒業まで
残されたわずかな時間で新たな就職先を探すか、非正規という
働き方で社会に出るか、もしくは留年をするか、という程度の
選択肢しか残らないことになります。

就職活動をした時の経済状況で、雇用状況が左右され、
半ば人生が決まってしまうのは大きな問題ですが、それ以上に
採用内定取り消しという事態はあってはならない問題です。

今、雇い止めや解雇による住まいと生活の不安、採用内定
取り消しによる将来不安等に対して、雇用対策の中でも特に
喫緊の課題と位置づけて、民主党では緊急雇用対策を取りまとめています。

採用内定取り消しについては、私自身、同世代が同じような問題に直面した
経験から、抑止力になる法案の必要性を訴えた結果、党の方針の一つになりました。

雇用の安心は暮らしの安心です。望めば誰もが
誇りを持って働ける環境をつくるべく、懸命に活動してまりいます。