吉川さおり 参議院議員(全国比例)

コラム

あれから10年-その3

2022年9月3日
  • 2012年8月10日締め括り質疑
  • 2012年8月10日特別委採決

社会保障と税の一体改革関連法の成立から10年が経過した。

常会の会期を79日間も延長し、2012(平成24)年8月10日、参議院本会議で可決・成立した。

私は社会保障と税の一体改革関連法を審議した特別委員会の過半数を持たない与党理事として、つらい局面も多く経験した。それでも将来世代に対して責任を持つ意思決定をしていかなければならないとの思いで携わった。

あれから10年。あっという間だった。

税はできれば負担したくないものかもしれない。ただ、分かち合い、支え合いのために回避できるものではなく負担が前提であることを議論の基本とし、その負担の公平性についての議論に力点を置くべきではなかろうか。

人は一人では生きていけない。誰もが明日どうなるか分からない世の中で、その負担や分配が不公平にならないような政治をすべきと思う。

逃げない政治、課題に向き合う議論をしたいという思いは、あれから10年経った今も変わらない。


[再掲]社会保障と税の一体改革(2021年10月16日掲載分)

今から9年前の2012年8月、民主党政権末期、社会保障と税の一体改革関連法は紆余曲折を経て成立した。

消費税、地方消費税の税率引上げを含む法案であったことから、党内でも議論が分かれ、最終的に民主党は多くの離党者を出した。

その過程では、そもそも税率を上げることに対する是非など、実に多くのことが議論された。

たとえば、軽減税率について導入すべきだ、いやそうではないと真剣な議論が長時間にわたって交わされたが、軽減税率を導入すると税収効果が薄まってしまうこと、高価な商品等を購入する富裕層が逆に恩恵を受けること、事務的な手間が煩雑になること、何を対象にするのか線引きが困難であることなど、多くの議論の末、税の公平性の観点から党内では、軽減税率に関して導入しないことで決着した。

2011年12月末まで議論を重ね、最終的に国会で議論されたのは2012年の通常国会である。

参議院では2012年7月から8月にかけて法案審査が行われたが、当時、与党でありながら、過半数を持たない「ねじれ国会」状態に置かれていた。

つまり、衆議院では過半数を有していても参議院では過半数を有していないため、他党や他会派の協力なくして法案を審査することも、採決することも、ましてや可決させることもできない状態であったのが9年前の状態である。

私は、関連法案を審査するための「社会保障と税の一体改革に関する特別委員会」理事に選任された。

当時は民主党政権末期であり、私自身、2期目の改選まで1年を切る中、しかも夏は全国行脚にもってこいの時期であり、特別委員会の理事になってしまうと思うように政治活動がかなわなくなることから、何とかならないかと色々やってみたのだが、特別委員会の理事となった。

あれから9年以上経った今だからこそ、当時の経験は得難く、忘れられないものとなっているが、懇意にしていた当選同期議員が次々と離党した時期とも重なり、あまり思い出したくもない時期のことでもある。

久々に当時のことを思い出したのは、古本伸一郎前衆院議員の第49回総選挙不出馬を受けてのこと。

9年前の社会保障と税の一体改革関連法は、上述のとおり、参議院では与党でありながら過半数を持たない「ねじれ」状態であったため、民主党単独ではどうしようもなく、法案を通すために、最終的に自民党、公明党と3党合意を行うことによって、可決・成立に目途をつけた。

それでも参議院の審査過程で混乱し、成立が危ぶまれた時期もあり、特別委員会理事会や理事懇談会においては、野党自民党から厳しい要求ばかりが次々に飛んだことを久々に思い出しながら、これを書いている。

ともかく、3党合意がなければ成立に漕ぎつけることはできなかったわけであるが、その際、民主党が分裂する引き金の一つともなった軽減税率導入に向けた含みを残した合意になってしまったこと、法附則第18条に2項を加えたことが、結果として現在の状況を生んでしまったともいえる。

法案成立のためには致し方なかったことではあるが、当時のことを思い返すと残念でならない。

せめてもと、社会保障と税の一体改革特別委員会での質疑において、3党合意の当事者であり、修正案提出者である3党の衆院議員にその真意を問うた。

〇3党合意に基づく修正により附則第18条に第2項が加えられた。この条文について、衆議院における議論を確認すると、3党の理解にずれがある。消費税収を社会保障4経費に充てることは法律上明確に規定することになり、この点に異論はない。問題は、消費税収の増加分をどのように取り扱うかということである。

2つの考え方について、前者か後者かを3党の修正案提出者に質問した。

1.消費税収の増加分はそのまま国債発行額の減少とし、歳出総額を膨脹させないで、歳出の内訳として防災対策を含む経済成長分野へ資金を重点化するという立場

2.消費税収の増加分だけこれまで社会保障分野に充てていた赤字国債等の財源が浮くことになり、この分を防災対策を含む経済成長分野に活用することとし、したがって歳出総額は増加するという立場

民主党の修正案提出者として古本議員が、前者の立場で答弁に立った。消費税を引き上げた分は、法律の一条にも明記してあるが、社会保障関係4経費、年金、医療、介護及び子ども・子育てに限定して使わせていただくということを。

しかしながら、民主党政権終焉後は、後者の方向に完全に舵を切っていると言わざるを得ず、9年前の様々な議論や9年前から現在に至るこの間の様々なことに思いを馳せると言葉もない。

国民の皆様にご負担をお願いするという本当は避けて通りたい議論、でも将来世代のために大事な議論から古本議員は逃げない代議士だった。今回の不出馬の決断は、様々な側面、色々な意味でとても残念でならない。

2012年8月10日、社会保障税特別委で、私は以下のように発言した。

「我が国における人口構成は大きく変容し、少子高齢化が一層進むこと、そして国の予算の約半分を赤字国債で賄う状況が続いているということに鑑みると、どの立場に立とうとも社会保障の持続性と財政の持続性に向けて取り組むということは避けては通れない道である」

これは、コロナ禍においても同様である。今と未来への責任を負うのが政治の役割だ。

思うところは多々あるが、今は預けていただいている議席の重さを噛みしめながら、国民の代表としての責任を果たしていきたい。