吉川さおり 参議院議員(全国比例)

コラム

リクルーター

2022年3月18日

ロシアによるウクライナへの国際法・国連憲章に明確に違反する軍事侵攻開始から1か月が経とうとしている。この間、多くの市民が犠牲になっており、ロシアは即時に攻撃を停止すべきである。

国内においては3月11日の新型コロナウイルス感染症対策分科会において基準を変更したことにより、約2か月ぶりに残された18都道府県のまん延防止等重点措置が3月21日をもって解除となる。

また、東日本大震災から11年を過ぎたばかりの16日深夜、大きな揺れが東北地方を襲い、様々な意味で緊張が解けない年度末を迎えている。

ただ、それでも日々は進んでいくし、新年度をもうすぐ迎えることに相違ない。

私にとっては参議院に議席を預かり15年。節目の4月となることもあり、様々なことを振り返る中、会社員時代の先輩2人のことを思った。

会社員時代には、多くの先輩や同僚、お客様、一緒に仕事をさせていただいた他社の方、数え切れないほど多くの方にお世話になって仕事をしていたのであるが、今回なぜ2人かといえば、私が前職の会社に入社するきっかけを作った2人の先輩だからである。

リクルーター採用試験を受けないか、と声をかけてくれた入社年次が1つ上の先輩なくして私が前職の会社に入社することは100%なかったことを考えれば、正確にいうと3人なのだが、今回はリクルーター採用において大きな比重を占めた2人の先輩について触れたいと思う。

リクルーター制度とは、社員がリクルーターとして学生に接触し、採用活動を行う制度であり、同じ学校出身者がリクルーターを務めていた。といっても、当時は就職氷河期で、私の出身校から文系女子学生のリクルーター採用は、私一人だったことを考えると、本当に運と縁と巡り合わせとしか言いようがない。また、翌年度は私の出身校からのリクルーター採用は消滅し、翌々年度から3年間は新卒採用自体が完全に凍結されてしまった。

そのリクルーターは、筆記試験や人事部面接にあげていく学生を決めるために、厳しい面接を何度もしてくれたのだが、リクルーターヘッドは男性が平成7年入社、女性が平成8年入社の先輩社員だった。

リクルーターヘッドだった先輩とは、今もときどき連絡をとるが、2人とも私が会社を退職する前に退職している。

退職後、一人は起業した後、移住先で町議1期を経て、今は地元に戻り社会起業家をしながら大学院生、一人は法科大学院を経て弁護士をしている。

弁護士になった先輩とは、10年ほど前、地方での法テラス勤務時代に直接会って色々話を聞いたが、たとえば消費者被害に関し、「人を信じるのは大切なことのはずなのに、そういう方が犠牲になる世の中というのは、本当になんとかしなければならないと思う」と話してくれたことがとても印象に残っている。

今は地元で独立しているが、「一つひとつの出会いを大切に、困難を抱えながらも一生懸命生きている方や理不尽な事態に苦しんでいる方の力になれるよう、精一杯のことをできればと思っている」と弁護士として活躍されている。

消費者被害は事前に防止できる方策が必要であり、事後の救済にしても法律や制度という側面で政治が大きな役割を果たす。また困難を抱えながらも一生懸命生きている人に対する施策も同様である。

困難を抱えながら一生懸命生きている人や理不尽な事態に苦しんでいる人、制度の狭間で苦しんでいる人に光を当てる政策や予算措置ならいざしらず、政策立案過程や現行の法制度との整合性からみても、選挙前のバラマキ一辺倒でしかない案が簡単に出てくるような事態が繰り返される政治の現状を憂う。

混沌とした状況が続く中にあっても微力ながら役割を果たしていきたいと思う。

※写真は3年間の採用凍結後の平成16年入社組の内定式後の分野別説明会の動画から。サービスビジネスや経営管理、設備ビジネスなどいくつかのブースに分かれて説明会が行われ、私はソリューションビジネス分野を担当。