吉川さおり 参議院議員(全国比例)

コラム

豪雨災害の態様変化とガイドライン

2023年7月20日
  • 2010年11月7日 奄美豪雨災害視察
  • 2010年11月7日 奄美豪雨災害視察
  • 2010年11月11日 奄美豪雨視察を踏まえた質疑(総務委員会)
  • 2011年11月 災害対策特別委員会

私が参議院に議席を預かったのは2007年7月29日に執行された第21回参議院議員通常選挙のことである。

その後、本格的に召集された臨時会での委員会配置は、経済産業委員長の任にある間を除いて一貫して所属している「総務委員会」と「災害対策特別委員会」であることがほとんどであった。

私が初当選時からこの間取り組んできた政策分野の中に、消防防災があり、掲げる政策の3本柱の1つでもある。国民の生命・身体・財産を守るのは、政治の役割であると痛感しながら国会質疑に立ってきた。

消防防災行政に関しては、これまで本会議、予算委員会、決算委員会、総務委員会、災害対策特別委員会で質疑を重ねてきたが、昨今の線状降水帯による各地の豪雨被害を見るにつけ、過去に取り上げた課題を思い出し、新たな対策の早急な必要性を痛感しているところでもある。

豪雨災害における課題はいくつもあるのだが、ここでは過去の委員会質疑を振り返りながら、まず一点だけ取り上げてみたい。

政府は、平成17(2005)年3月に「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」を策定した。

しかしながら、このガイドライン策定後、それまで想定されなかったような豪雨等が発生することとなり、見直しが必要ではないかと考えたため、この点について、最初に委員会で指摘したのが平成22(2010)年11月の総務委員会でのことである。


〔平成22(2010)年11月11日 総務委員会〕

〇吉川沙織君

2004年は台風や集中豪雨によって全国各地で様々な被害がもたらされました。この一連の風水害の経験を踏まえて、円滑な避難勧告等の発令の判断に資するよう2005年に「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」というものが取りまとめられています。これを受け、同ガイドラインを踏まえた避難勧告等の判断基準伝達マニュアルの作成推進や地域防災計画への反映が要請されているところです。

総務省消防庁では、全国の市区町村における避難勧告等の具体的な発令基準の策定状況について、今年1月28日に避難勧告等に係る具体的な発令基準の策定状況調査結果というものを公表されています。このうち、水害発生時における避難勧告等の具体的な発令基準について、2009年11月1日現在では、全団体のうち46.0%が策定済み、40.6%が策定中というような状況にあります。もちろん、前年と比較するとポイント数は増えているんですけれども、全体からすると策定されているのは半数に満たない状況です。また、策定中としているような団体でも、いつまでに策定できるかどうかは分からないような現状にあります。

今回甚大な豪雨被害に遭った奄美市においても、水害発生時における避難勧告等の具体的な発令基準は策定中でありました。奄美市は、雨量なども考慮した明確な判断基準があれば避難勧告や指示をもっと早く出せたかもしれないとしています。ここ数年の豪雨災害を見ても、記録的な豪雨というフレーズが珍しくなくなっています。


⇒平成22(2010)年の質疑では、ガイドラインに基づいて水害発生時における具体的な発令基準の策定状況について取り上げ、国としてどのように策定を促していくかに主眼を置いた質疑としたが、その次に取り上げたのは、災害の態様変化に応じたガイドラインの見直しが必要ではないか、ということである。


〔平成23(2011)年11月4日 災害対策特別委員会〕

〇吉川沙織君

内閣府は、平成17(2005)年3月に「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」を策定していますが、先ほど引用しました内閣府の調査によれば、表現の中に気象条件を十分に把握するとか適切に判断するという表現があるが、市町村では専門的な知識を持っておらず、人事異動もある中ではなかなか難しいなどの意見が出されています。

内閣府は、平成21年5月に「近年の豪雨災害等で明らかになった事例及びガイドラインに沿った対応のあり方及び関係省庁における対応」を公表しているということは承知しておりますが、ガイドラインが策定されたのは平成17年です。でも、それ以降、災害の態様もゲリラ豪雨に象徴されるように変化しています。現在の災害に即した形で抜本的な改正を図る考え、先ほども少し触れられましたけれども、いま一度お伺いしたいと思います。


⇒上記質疑の後、ガイドライン改正に向けて検討会が設置され、全面的な見直しが初めて行われた。その結果、平成26年6月に全面改定されたが、線状降水帯による豪雨被害が日本各地のどこで発生してもおかしくない状況下だからこそ、改めて見直しの必要性が生じているのではないかと考える。


〔平成26(2014)年3月26日 災害対策特別委員会〕

〇吉川沙織君

今月3月11日、「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」検討会で、これ私も、平成17(2005)年に策定されたものは今の災害の対応に合っていないから見直しをすべきであるということを申し上げてまいりました。その結果、3月11日にその素案が示されました。