第170臨時国会/衆議院厚生労働委員会 答弁録(2008年12月24日)

○鴨下委員

まず一つは、採用内定取り消しについてであります。
これは野党案では、使用者の通知の発出、これで労働契約が
成立したと推定される、こういうようなことでありますが、この規定を
置くというようなことによって企業が採用内定の通知を出すことを
やめてしまうんではないか、ある意味で採用内定のちゅうちょを
するんじゃないか、こういうようなこともあります。

加えて、これは判例で、一たん内定を出したことについては
労働契約が成り立つということで、解雇権の濫用というものを
防止するべきだ、こういうようなことでありますけれども、逆には、
内定を出さずにその手前の内々定で終わらせておいて、企業が
ある意味でリスクヘッジをしていく、こういうようなことにもなりかねない。

企業は企業の論理がございますから、そういう趣旨でいうと、
この発出で労働契約が成立したと推定する、このことについては、
私はもっともっと見なければいけないいろいろな問題を含んでいるな、
こういうふうに思っておりますが、簡潔に、しかも誠実にお答えを
いただきたいと思います。

○吉川参議院議員

鴨下委員に簡潔にお答え申し上げます。

委員御指摘の御懸念をどなたかがお持ちになられるもの、
そしてまた、どなたかから御質問いただけるものと思っておりました。

なぜならば、先日の審議の際にも申し上げましたとおり、
私、就職氷河期で、その前の年に内定取り消しの憂き目を
1,000人以上見ましたから、こういう内々定にとめ置かれるのじゃないか、
これは法案作成時にも特に気にした点でございました。

今回の法案では、採用する旨の通知を発したときに
労働契約が成立したものと推定することにしております。
この採用する旨の通知は文書によるものに限らず、
口頭によるものも含みます。また、内定という文言が使われているか、
内々定という文言が使われているかにかかわらず、企業側の採用の
意思が示されていれば、採用する旨の通知に当たります。

したがいまして、内定通知書等が交付される前の
段階であってもこの法案による推定は働くことになります。

例えば、これは私自身もそうでしたが、採用面接の際に
口頭で内々定の旨を告げたような場合であっても、採用の
意思が示されている限り労働契約の成立が推定されます。

結局、この法案の推定が及ばないような内々定とは、
採用の意思が、口頭ですら全くはっきりと示されていないような
場合ということになります。しかし、このような状態では、
企業にとっては企業価値の低下を招くという点、そして人材確定、
固定が最後までできなくなるという点がございますので、
本法案による推定が及ばない、採用の意思すらはっきり示さないような
企業に対しては人材が集まりにくくなると同時に社会的不信を招くという点が、
容易に想像がつくのではないでしょうか。
以上でございます。