第171通常国会/決算委員会議事録(2009年4月6日)

4. 市町村防災行政無線の整備に向けた財政措置の在り方

○吉川沙織君

さて、市町村の防災行政無線は地域住民の、今申し上げた
とおり、命を守るために一刻も早く整備をしなければいけませんが、
自治体財政は厳しい状況です。このような中、今後は市町村
防災行政無線もできるだけ早期にデジタル化するということが、
地デジ同様国の方針となっており、地方にとって一層の負担と
なることが考えられます。

今申し上げたとおり、同報系の防災行政無線ですら整備されて
いない市区町村がいまだに数多く残されている中、同報系防災
行政無線とデジタル移行についての問題をどう考えるかなど、
全国瞬時警報システムと市町村防災行政無線にかかわる課題
は多いと考えますが、今後どのような対応をなさるおつもりでしょうか。
消防庁にお伺いします。

○政府参考人(幸田雅治君)

同報無線のデジタル化のメリットでございますが、双方向通信が
可能になるということとデータ等の音声以外の通信が実現できる
ということで、住民へ適切な情報の伝達が行えるものというふうに
考えております。ただ、この同報無線に関するデジタル化の移行
期限というのは定められていないところでございまして、市町村の
判断により整備が現在進められているということでございます。

平成20年3月末現在で、同報無線の整備済み団体のうち180の
団体がデジタル化しているということで、同報無線は1,371団体が
整備済みでございますので、デジタル化の整備率は13.1%と
なっております。

消防庁といたしましては、同報無線デジタル化を推進するために、
地方債と交付税措置を組み合わせました防災基盤整備事業による
財政支援を講じまして、引き続き地方公共団体に対して整備の働き
かけを行っていきたいと考えております。

○吉川沙織君

防災行政無線を整備するための補助金は、あの三位一体の
改革において一般財源化をされてしまいました。現在、今御答弁
いただいたとおり、防災基盤整備事業、つまり地方債の対象と
されており、消防庁はこの地方債の活用により整備促進を図る
という旨の答弁を繰り返されていらっしゃいます。

しかし、実際には遅々として整備は進んでおらず、実態を必ずしも
踏まえているとは言い難い統計においても整備率は75.5%にとどまっています。

言うまでもなく、地方財政は大変厳しい状況にあります。御答弁
にもありましたとおり、デジタル防災行政無線については、90%まで
地方債の起債を認め、その元利償還金の50%は交付税措置として
いることから、財政措置を優遇しているとは言えると思います。

一方、地方団体としては、厳しい財政状況の中で公債費の抑制に
努めているところであり、新たな地方債の発行には抑制的であると
思います。特に、地方財政健全化法が施行されたことによりその
傾向は強まっているのが現状ではないかと思いますが、久保財政局長、
何かあればお願いします。

○政府参考人(久保信保君)

住民の生命、身体に関係する話ですから、健全化法が施行されても
それは優先してやっていただいて、なおかつ健全化の指標もいい指標が
出ていただくことを期待しております。

○吉川沙織君

ただ、地方財政健全化法で、健全化四指標で実質公債費比率です
とか将来負担比率が将来残るということと早期健全化基準というもの
がありますので、そこに引っかからないようにするにはやはり借金を
しなくてもいい事業を優先的にするのではないかということ。また、
この防災基盤整備事業では当初の一般財源の負担は10%でよいと
いっても、デジタル防災行政無線の整備には多額の経費が掛かると
いうことになります。特に財政力の弱い地方団体にとっては、10%と
いえど大きな負担になります。

さらに、平成19年度決算における歳出総額に占める
消防費の割合というものは、実に2.0%です。都道府県では
0.5%、市町村で3.5%となっていますが、消防予算に割り当て
られている予算はいかにも少額です。

このような状況でデジタル防災行政無線の整備に一般財源を向ける
ことは、現実の財政運営にかんがみれば非常に難しいと言わざるを
得ないと思います。防災行政無線の整備が進まないのは、国の
財政措置のスキームが現実の地方団体の財政運営、財政状況に
そぐわないからではないかと思います。現在のスキームをただ漫然と
続けていても一向に整備率は上昇しないのかと思われますが、
消防庁として何か御見解があればお願いします。なければいいです。

○政府参考人(幸田雅治君)

先ほどもお答えしたのと同趣旨になって恐縮でございますけれども、
やはり安全、安心ということについて、各地方公共団体がこういった
防災行政無線、Jアラート等の整備について積極的に取り組んでいただく。
今回の事案もございましたので、そういったことについてまず消防庁
としても働きかけ、理解を得て各地方公共団体の中でのやはり優先順位を
上げて整備を進めていただくということが必要だというふうに考えておりますし、
またそれに対する財政支援措置につきましては、できるだけ私どもとしても
支援を現在ある制度等の活用を含めて行っていきたいと考えております。

○吉川沙織君

今のお気持ちはすごく分かるんですが、実際進んでいないという
現実があります。しかも、住民の生命、身体の安心、安全にかかわる
防災行政無線の整備が行政支出の優先順位として後回しにされている
という現実はちゃんと見定めるべきだと思います。

そこで、国民の、住民、命、身体を守ることが国、地方団体の責務
であるという観点から、防災行政無線に係る国庫補助金を再度
創設してはどうかと思います。一般財源化された補助金の復活には
異論があるかもしれませんが、三位一体の改革が数字ありきで
理念なく行われ、国民の生命、身体に、安全に係る国庫補助負担金
までも対象としたことがそもそもの間違いではないかと思います。

今年2月12日の衆議院本会議において鳩山総務大臣も、
「三位一体、これは失敗の部分がある、地方をここまで苦しめ
ているのは、三位一体改革が必ずしも正しくない部分があったと
考えております。」と御答弁されています。

したがって、これを修正することにちゅうちょすべきでは
ないと思います。そして、一気に防災行政無線の整備促進を
図る観点から、極力地方団体の財政負担が生じないよう高い
補助率とする、若しくは、平成21年度の消防防災施設整備費
補助金はおよそ32億円ですが、これに防災行政無線の整備を
含めるなど発展的改組を図りつつ十分な予算を確保すべきではないでしょうか。

これこそが国民の命、安全を守る国の果たすべき
役割ではないかと思いますが、消防庁、いかがですか。

○政府参考人(幸田雅治君)

委員今お話ございました同報無線に係る補助制度に
つきましては、平成18年度の三位一体改革に伴いまして
廃止、一般財源化されたところでございまして、現時点において
新たにまた戻す対象とするということは難しい状況と考えております。

しかし、同報無線の整備の促進ということにつきましては、
例えば、先ほど申し上げた以外にもMCA方式といった安価な
整備方式などの助言などを含め、更なる整備に向けて働きかけて
いきたいと考えております。

○吉川沙織君

これは政治判断が必要ではないかと思います。
昨年5月に中国の四川で大地震がありました。その後に国の補助率、
耐震診断と耐震化に関する補助率をたしか2分の1から3分の2に
上げるでしたかね、そういう改正法が議員立法で成立をしましたので、
やはり命、暮らし、安全を守るためには高度な政治判断が必要では
ないかと思います。