第171通常国会/総務委員会議事録(2009年4月23日)

6. 実施基準の遵守(消防機関)と尊重努力(医療機関)の違い

○吉川沙織君

そこで、昨年3月27日の当総務委員会において、救急搬送に
おける医療機関の選定に長時間を要する問題の解決として、
消防庁長官は、「この問題の解決のためには医療機関側の受入れ
体制の構築が何よりも重要であると認識しておりまして、」と答弁をされています。

今回の法案第三十五条の七では、消防機関においては
実施基準を遵守、医療機関は実施基準を尊重するよう努めるものと
しています。つまり、消防機関には遵守義務を課す一方で、医療機関に
対しては尊重努力義務にとどめられています。

これは、衆議院総務委員会での質疑を拝見しておりますと、
消防機関が公的機関であること、医療機関においては私立病院が
多いことによることに依拠するものであるとされていました。
実施基準を定める際の協議会にはもちろん医師を始めとする
医療機関関係者が入ることから、医療機関が基本的に従うものと
期待をされるという答弁なさっていましたが、実効が上がるのか
疑問を持つと同時に、やはりちょっと違和感を感じざるを得ないんですね。

この医療機関に対して尊重努力義務としたのは、
これは医事法に関係するものではないんでしょうか。

○政府参考人(岡本保君)

先ほど来御指摘ございますように、この実施基準をきちんと
守っていく、消防機関と医療機関が協議会の場でその都道府県に
おきます医療資源、様々な資源の賦存状況を見ながらお互いの
ルールを決める。

私どもとしては、これをできるだけいろんな症状に応じて細かく
決めることによって、できるだけその選定が、ルールに従えば
ほぼかなり、例えばこういう症状ならばAという病院だとか、
具体的にできるだけきめ細かく決まっていくことによって
そういうものがきちんと守られていくというふうに考えておりますが、
そういうルールでございますから、消防機関、医療機関とも法律に
基づいたルールはきちんと守って努力していただくというのが
当然だろうと思っております。

ただ、これを法的に、同じような答えで恐縮でございますが、
義務を課すかという、常に守っていくことを法律上の義務として
課すかということについては、先ほど御説明ございましたように、
消防機関の公的機関の性格、あるいは医療機関側の大半が
私人であるということ、さらに、るる御指摘ございますような
現在の医療の医師の状況、病床の状況等を踏まえれば、
法的な遵守義務まで課すということは現実的ではないということから、
尊重努力義務という形を取ることとしたものでございます。

○吉川沙織君

病院の場合は私立の機関が多いということでしたが、
やっぱり民間であるから規制なり義務付けができないと
いうのは私はおかしいと思います。

なぜならば、消防法自身も民間に様々な規制や義務付けと
いうものを行っています。消防機関には遵守、法律でルールを定めて、
協議会を設置して、そこで実施基準を定めてそれを守ろうというのであれば、
病院に対しても遵守というものを課していいのではないかと思っています。

ただ、やはり衆議院の答弁がああなった理由というのは、
医師不足等の救急現場の実態にかんがみると、義務付けを
してしまうと現場がもたない可能性があるということを考慮した上での
答弁だったのかなと私自身は推測をしております。

しかしながら、医師不足等の原因を招いたのは
今までの国の政治であり、それを克服できていないのも
また事実でありますので、今回は残念ながら消防機関には
遵守で医療機関には尊重努力ということになりましたが、
それが守られるよう、しっかり大臣、指導をしていっていただければと
思いますが、どうでしょうか。

○国務大臣(鳩山邦夫君)

何かNHKと民放の関係と、全く違う話なんですけれども、
NHKは公共放送であると、しかし、民放でもやはり非常に社会的な
影響の大きいマスメディアであるから、放送法上守らなければいけない
ことがきちんと定められておると。

そういった意味で考えれば、今回はこうやってスタートしましたが、
私は、病院というものの社会的使命というものを考えれば、病院に
将来は遵守義務を課しても全然おかしくないと思います。

○吉川沙織君

前向きな御答弁をいただきましてありがとうございます。
是非、今回はこういうことでしょうけれども、大臣、指導力を
発揮してそのようにしていただければと思います。

今回の法改正で救える命を確実に救うための救急搬送体制が
確立されるためには、やはり今いろんな同じような分野でお伺いを
しても、消防庁長官がお答えになったり厚生労働省の審議官が
お答えになったり、どっちが何を担当しているのかというのが
分かりづらいというような状況もありますが、それは今回連携を図る
ということが明記をされていますので、是非しっかりやっていただきたいと
思っております。