吉川さおり 参議院議員(全国比例)

国会質疑録

第171通常国会/総務委員会議事録(2009年4月23日)

2009年4月23日

8. Jアラートの整備と市町村防災行政無線整備率の実態調査の方向性

○吉川沙織君

そして、今経済危機対策のことをおっしゃっていただきましたが、
これに関連してお伺いをいたします。国民の命、そして身体を守る
情報を伝える目的で平成19年2月から消防庁として全国瞬時警報
システム、Jアラートの運用が開始されております。

このシステムについては、昨年の当委員会でも、今月は災害特と
決算でも質問をさせていただきましたが、これは対処に時間的余裕のない
事態に関する緊急情報を人工衛星を用いて送信し、市区町村の防災行政
無線を自動起動することにより住民に緊急情報を瞬時に伝達するものです。

しかしながら、4月5日にありました北朝鮮からのミサイル
発射事案に伴いこのシステムが使用されることは、整備が
進んでいないことを理由に使用されませんでした。

4月6日の決算委員会では礒崎委員とともに様々な観点から
指摘をさせていただいたところ、翌4月7日に総務大臣が閣議後の
記者会見にて、「Jアラートの整備、それから防災行政無線の
整備については、これは緊急を要することと思って、全力で
頑張っていかなければならないと思っております。」と発言をされました。

それで、今回の経済対策でも110億円という額が計上
されていますが、この内訳についてお伺いしたいと思います。

○政府参考人(岡本保君)

Jアラートを全国すべての市区町村に一斉整備をするということを
目的といたしまして、今回、この経済危機対策の一つの柱として
Jアラートの全国一斉整備ということをしたいというふうに考えております。

総事業費約110億円と見込んでおりますが、現在、防災行政無線が
整備されている団体と残念ながら防災行政無線が整備されていない
団体がございますが、それぞれの団体に分けまして、情報を受信
するための設備整備、それから防災行政無線を自動起動するための
改修といったようなものを、現在システム導入をしております団体を
除きまして個別に積み上げていきました結果、約110億円というふうに
見込んだものでございます。

○吉川沙織君

ということは、Jアラートの受信環境は整えるが、その先の
防災行政無線については補助がないということでよろしいですね。

○政府参考人(岡本保君)

防災行政無線につきましては、今もお答え申し上げましたように、
市町村数でいきますと、現在の市町村でいいますと75%ということで
ございますが、この整備につきましても、先ほど申し上げました交付金等を
使ってこの防災行政無線の整備も併せて進めていただこうということが
進みますれば、この75%、25%のすき間といったものも
より縮めていきたいというふうに考えております。

○吉川沙織君

結局、今回の110億では受信環境までは整えるが、
その先は防災基盤整備事業を使って整備をするということ
だと思います。Jアラートの受信環境を整備したとしても、
命を守る情報、それを伝達するためには、市町村防災行政
無線の整備がなければ瞬時にその情報が地域住民の皆様の
耳には届かないということになります。

この整備率、一番新しいもので75.5%となっておりますが、
これは市町村合併の効果を入れたものとなっています。

このことについては4月6日の決算委員会でも指摘を
させていただきましたが、当該自治体の中の一部にだけ
整備されていれば、その自治体全域に整備されていなくても
整備済団体とされ、必ずしも実態に合わない整備率となっています。

このことについて消防庁にお伺いいたしましたところ、この市町村
防災行政無線の整備と併せて、実態にそぐわない統計で75.5%ですから、
市町村合併前の点在しているものについて検討するということでしたが、
その検討状況若しくは検討される予定であればどのように検討なさるのか、
端的にお願いします。

○政府参考人(岡本保君)

整備率75.5%で、これが前回の決算委員会等で御指摘を
いただいたものでございますが、合併が行われる前の時点の
市町村をベースに考えますと70.9%という数字に相なります。

防災行政無線の整備につきましては、先ほど申し上げましたように、
防災基盤整備事業や、それから今回、経済危機対策でやります
この交付金を使いまして、すべての市町村におきまして、この同報系
無線の整備を進めていただくということを進めて、このJアラートの
一斉整備ということと相まって、いろいろな緊急情報等が国民に
的確に伝わるという体制の整備を進めてまいりたいというふうに考えております。

○吉川沙織君

今、市町村合併前の整備率に換算し直すと70.9%という
お答えでしたが、これはやっぱり市町村合併前の整備率から
上がっていない、毎年の整備率を拝見いたしますと、市町村
合併が大きく行われる前からほとんど変わっていないという
数字になりますので、命を守るための整備は一刻も早くやって
いただきたいと思います。

しかしながら、防災基盤整備事業を強調なさいますが、
この防災基盤整備事業では当初の一般財源の負担は
10%でよいといっても、市町村防災行政無線においても、
期限が決められていないだけで、デジタル化することが
国の方針で決められています。となれば、財政力の弱い
地方団体にとっては、当初の一般財源が10%でよいといえども
大きな負担になることが考えられますので、これは消防庁として
しっかり対策を考えていただければと思います。