吉川さおり 参議院議員(全国比例)

国会質疑録

第177通常国会/予算委員会議事録(2011年3月7日)

2011年3月7日

10. 若年者雇用問題が税収・日本経済に与える影響

○吉川沙織君

次に、この若年者の雇用問題が国税や地方税、
そして日本経済全体にどのような影響を与える
のかという観点から質問をさせていただきます。

昨年の予算委員会において、就職氷河期世代を
中心とする若い世代が正社員になれなかったことに
よる経済的損失に関して、国税、地方税収入に
与える影響について試算を行っているのか否か
お伺いいたしました。

当時の財務大臣は総理でございましたが、当時の
菅財務大臣からは、フリーター等の定義が定かでは
ないことも含めて、試算そのものは行っていないとの
御答弁がございました。

また、当時の総務副大臣からは、年齢階層別の
統計が存在しないことから減収規模は分からない
との答弁もありました。

ただ、若年労働者の非正規化、また若年失業者の
増大により国税収入に与える影響があると思います
が、財務大臣に御見解をお伺いいたします。

○国務大臣(野田佳彦君)

お答えいたします。
非正規雇用者の増加と税収との因果関係に
ついては、具体的な試算はございません。

ございませんけれども、一般論で申し上げれば、
正規より非正規が増えていくと、あるいは失業者が
増えていくということになれば、雇用者報酬の総額が
減り、そのことによって所得税収が落ち込むということの
可能性はあり得ると思います。

○吉川沙織君

ありがとうございました。
今財務大臣から所得の落ち込みによって
税収の落ち込みも考えられるとの御答弁が
ありました。これは地方税においても同じことが
言えると思いますが、総務大臣の御見解をお伺い
いたします。

○国務大臣(片山善博君)

地方税におきましても、先ほど財務大臣から御答弁
ありましたような国税のメカニズムと同じようなことが
起こり得ると思います。

○吉川沙織君

国税、地方税において若年労働者の非正規化、
そして若年層の失業率が高止まりすることによる
国税、地方税の減が見込まれる、影響があるとの
御答弁でした。

昨年の質疑で当時の菅財務大臣から、
「フリーター等によって正社員の皆さんよりも
給与が低いために税収が下がっているということは
十分予想される」との答弁をいただきました。

この問題は、若い人の層に限定されるものでは
なく、この税収から見ても分かるように全ての
世代に影響するものです。

若年者雇用問題が日本経済全体に与える
影響について総理にお伺いいたします。

○内閣総理大臣(菅直人君)

若者に限りませんけれども、若者は、就職できなければ
もちろん生計を維持することができず、たとえ働いた
場合でも非正規労働者である場合は正規労働者と
比べて雇用調整の対象となりやすい、相対的に
低賃金である等の雇用が不安定であるという問題が
あると認識しております。

このような若年者雇用の問題は、経済全体に対して、
一つは、生産面では技能の蓄積が進まず我が国
経済の生産性を低下させる原因となる。また、支出
面では国民所得の減少が消費不振につながってくる。

先ほどおっしゃった税収にももちろん影響すると
思います。更に言えば、結婚をする率が大変
低くなり、その結果、更なる少子化を招いてしまう。

更に言いますと、雇用というのは、単に生計を
得るということにとどまらず、人は働くことで
居場所と出番を見付けることができ、特に若い
世代が社会から孤立することがないようにする
ことが大切だと考えております。

そういった意味で、この若年者雇用は、短期的な
経済問題だけでなく、極めて長期的に見ても大変
社会のひずみを拡大しかねない問題だと認識して
おります。

○吉川沙織君

今、総理から税収等からも影響が見込まれるということ、
そして技能の蓄積が難しい、そういったお話をいただき
ました。

総理は施政方針演説で、一に雇用、二に雇用、三に雇用、
雇用対策に力を入れ、そして税と社会保障の一体改革にも
着手をされております。

私は、体感不安を解消するための平成23年度
予算案の早期成立を中心に、雇用の問題に
焦点を当てて質問をさせていただきました。

今総理からも御答弁ございましたように、若年者
雇用問題については、この世代だけではなく、日本
経済全体に与える影響、そして社会保障の持続性の
観点からも早急に取り組んでいかなければならない
政策課題であると考えます。

私の世代が不安定な雇用形態のまま65歳を迎えた
とき、生活保護の財政負担が約19兆円にも上るという
試算もございます。

何としても全ての世代の人が明日に夢や希望を持てる、
そんな社会をつくり上げていかなければならないと
感じています。若年層における格差の拡大は、年を
重ねるごとにその格差がやがて固定をし、日本全体の
格差の拡大にもつながりかねません。その上、これは
将来に対する希望の格差にも及んでしまいます。

これらの課題に対応する平成23年度予算案、
そして予算関連法案の一日も早い成立を野党の
皆様にも呼びかけて、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。