総務委員会(2019年5月9日)

総務委員会で質疑に立ちました。

電波法改正案と電気通信事業法改正案が一括審議となり、両案審査で80分の質疑に立ちました。

電波法は、11年前から3回質疑に立っている一方で、電気通信事業法は昨年質疑に立ったのが初めてで、今回が2回目です。

電気通信事業法の改正内容は昨年と大きく異なっています。

携帯電話の通信料金と端末代金の完全分離を事業者に義務づける内容など、利用者から適切な選択サービスが行われるよう改正されるものですので賛成ですが、改正内容量に比して、政省令委任事項が多いのも特徴のひとつです。

よって、事業法に関しては衆院審議を通じても明らかではない点について総務省に見解を質すことを中心に行いました。

また、電波法に関しては、電波利用料の料額改定をはじめ、周波数の割当に経済的価値を含む考え方が導入されるなど、これまでなかった改正内容です。

電波利用料の料額改定は本来3年ごとですが、前回改正は、私も質疑に立った2年前でした。よって、それを1年前倒ししていることになりますし、そもそも今回の電波法改正案の国会提出は、規制改革推進会議の規制改革実施計画に基づいて総務省内の懇談会で検討が進み、法案の提出に至ったものです。

そもそも事業法改正案も昨年8月の政府高官の発言を契機として、総務省内の有識者会議で一気に検討が進み、今年1月に緊急提言案が提出され、3月の法案提出。電波法改正案も規制改革推進会議が出した規制改革実施計画に基づいて総務省内の懇談会で検討が進んだ経緯を見ると、他律的な要因で法改正に至っている側面がないとはいえないと思います。

よって、最初に本来、長期的視点から安定的に議論するのが筋ではないかとの点について大臣の見解を質しました。

大臣の答弁が有識者会議でしっかり議論をということを繰り返されたのと携帯電話料金に関しての言及がありましたので、その有識者会議の構成員の方ですら、「何度も関わってきたが、今回のような改正は初めて」という趣旨の発言をされていることを議事要旨から紹介するとともに、携帯電話料金について諸外国との比較の妥当性について総務省の見解を質しました。

今回の法改正の基となった料金比較は、通信料だけの比較であり、分割購入、割引などを加味した実態に近い比較ではありません。ちなみに、実態に近い分割購入、割引などを加味した比較では、総務省の調査でも日本は6か国中3番目です。

法案提出のための議論を進めた研究会では、この調査結果が示されていなかったことや通信品質の質についても考慮する必要性について構成員の方の言及や新聞記事の指摘もありましたので、これらの点について総務省に確認しました。

次に、立法府の立場から、それぞれの改正における政省令の数を問い、たとえ全会一致であったとしても、今後、競争環境を適正かつ公正に促進するために重要な事項を政省令で定めることになるため、立法府の審議の場である程度明らかにしておく必要があると考え、特に政省令で定める内容の範囲が抽象的で広いと思われる事業法改正分の政省令委任事項についてこれまでの審議で明らかではない部分について総務省の見解を質しました。

次に、電波利用料の累積差額の現状とその在り方について、確認を行いました。

電波利用料の歳入と歳出の累積差額については、2008年から質疑の度に確認してきましたが、平成18年度末で約217億円、平成23年度末で約356億円、平成27年度末で約728億円、平成29年度末(最新)で約972億円と積み上がってしまっている状態です。

この累積差額については、電波利用共益費用として無線局全体の受益のための施策に充てられる仕組みが電波法にあるのですが、これまでこの仕組みが活用された事例は、たった3例しかありません。

よって、この電波利用共益費用の活用に対する見解を財務省と総務省に質すとともに、累積差額を翌年の予算に反映させることができること、今回の料額改定の理由とされた5GやIoTに関する施策に充てることもできたこと、電波利用料と一般財源で行う施策の区分や、電波利用料の性格等について一つ一つ確認を行いました。

累積差額が約972億円もあるのであれば、今回料額改定を行って放送事業者分も携帯電話事業者分も引き上げる必然性に乏しかったはずですし、翌年の予算に反映することができる仕組みもあり、それを行う必然性と緊急性もあったわけですから、累積差額を活用して充ててはよかったのではないかと思います。

また、今般の電波法改正案の改正事項については、上述のとおり、規制改革推進会議が出した規制改革実施計画に基づく事項となっています。

これまで何度も改正に関わってこられた有識者懇談会の構成員が「規制改革推進会議の答申を受けて検討したが、これまでにない取組だった」と発言されています。

情報公開の透明性等の側面から法制上明らかでない点もいくつかありましたので、規制改革実施計画の項目に照らして一つ一つ確認を行いました。

・特定基地局開設料(割当手法の抜本的見直し)

→周波数オークションとの差異、特定財源か一般財源か、差額が生じた場合の扱い、電波利用料については電波法で支出状況が公表されることになっているが特定基地局開設料については使途については規定があるが、支出状況の公表について法律の立て付けがないのではないか、等

・非効率な技術を使用する公共用無線局に対する措置の在り方
(公共用無線局からの電波利用料の徴収)

→アナログの同報系防災行政無線はすべて徴収対象になるのかについては、詳細はこれから、目安も不明。

・調査・研究等用端末利用の迅速化に関する規定の整備(提案募集型の用途決定)

→我が国の技術基準に相当する技術基準を満たす一定の条件の下、技適を取得していなくても、180日間を超えない範囲で新サービスの実験等について、行えるようにするとのことだが、実施状況を踏まえて当該期間を見直す可能性。

電波を出すことにより干渉を受ける可能性。実験を実施した地域で混信が発生しなかったからといって、それ以外の地域で混信が発生しないとも限らないため、この点についての対応方針。

ほかに、改正案に盛り込まれなかった事項に係る対応として、携帯電話等抑止装置に係る制度整備について見解を質し、最後に前回改正時にまとめられた「電波政策2020懇談会報告書」で示した2020年の社会の姿と今回の「電波有効利用成長戦略懇談会報告書」が示す2030年代の社会の姿について、2020懇談会で示した社会になっているかにいて、総務省の見解を問いました。

いずれせよ、固定電話と携帯電話の契約数は私が社会に出てからの20年で逆転し、今はワイヤレスの社会になりつつあります。

これら通信インフラをどう活用して、いかに国民の生活に資するものにしていくか、利用者の保護をどう図っていくかということはしっかり取り組んでいかねばなりません。

ただ、その法律の制定過程の中で、政省令委任事項等、立法府の段階で明らかにしていかなければならないことに関しては明らかにするというスタンスで80分の質疑に臨みました。

これからも立法府に身を置く議会人の一人として質疑を重ねていくことができるよう、精一杯努力していきたいと思います。

[質疑項目]
電波法の一部を改正する法律案、電気通信事業法の一部を改正する法律案

1.両改正案提出のプロセス

・長期的視点から議論する必要性

2.諸外国との料金比較の妥当性

・通信料以外の要素を加味した実態に近い比較に対する見解
・通信の質についても考慮する必要性

3.立法府に対する法案提出の在り方

・両法案における政省令委任事項の数
・事業法改正の趣旨と法施行日、施行日までの課題
・改正法第27条の3第2項第1号「完全分離」、第2号「期間拘束禁止」
・改正法第27条の3第1項「競争促進措置の対象となる事業者の指定」
・改正法第73条の2第1項「販売代理店への届出制度の導入」

4.携帯電話市場に対する行政の介入の在り方

・携帯電話の料金規制の経緯

5.電波利用料の累積差額の現状とその在り方

・累積差額の金額確認
・累積差額が電波利用共益費用に充てられた例
・電波利用共益費用の活用に対する見解(財務省、総務省)
・平成29年度決算差額と平成30年度決算における累積差額の見通し

6.電波利用料の累積差額の現状とその在り方

・電波利用料の使途の確認
・一般財源で行う施策と電波利用料財源で行う施策の判断基準
・電波利用料の性格
・電波利用料と一般財源化に対する危惧
・電波利用料の使途の追加(放送事業者の対災害性強化支援)
・電波利用料の使途の追加の議論の場(放送事業者の対災害性強化支援)

7.規制改革実施計画に基づく改正事項

・特定基地局開設料関連(9.割当手法の抜本的見直し)
・特定基地局開設料に係る審査の検討過程の公表・透明化の必要性
・特定基地局開設料の具体的使途(10.新たな割当手法により生じる収入の使途)
・非効率な技術を使用する公共用無線局に対する措置の在り方
(16.公共用無線局からの電波利用料の徴収)
・調査・研究等用端末利用の迅速化に関する規定の整備(11.提案募集型の用途決定)

8.改正案に盛り込まれなかった事項に係る対応

・盛り込まれなかった理由と今後の対応の方向性
・携帯電話等抑止装置に係る制度整備

9.電波政策2020懇談会報告書と電波有効利用成長戦略懇談会報告書

添付ファイル