吉川さおり 参議院議員(全国比例)

国会質疑録

本会議(委員長報告)(2023年5月31日)

2023年5月31日

参議院本会議で経済産業委員長として委員長報告を行いました。

「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」いわゆるGX脱炭素電源法案について、経済産業委員会における審査の経過と結果について報告しました。

本法案は、脱炭素社会の実現に向けて、非化石エネルギー源の利用の促進を図りつつ、電気の安定供給を確保するため、電気の安定供給の確保等の観点から、発電用原子炉の運転期間を定めるとともに、その設置者に対し、長期間運転する発電用原子炉施設に関する技術的な評価の実施及び管理計画の作成を義務付けることや、規律の強化等の措置を講ずるものです。

委員長報告においては、5本の束ね法案であることを明確にするために「5法律について改正を行おうとするもの」であることを明示しました。

・電気事業法
・再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(再エネ特措法)
・原子力基本法
・核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(炉規法)
・原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施に関する法律(再処理法)

また、委員会においては、茨城県の東海発電所及び東海第二発電所の視察を行ったこと、環境委員会及び内閣委員会とそれぞれ連合審査を行ったこと、参考人から意見を聴取したこと、内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行ったことなど報告したのち、委員会及び各連合審査会における主な質疑の内容として、以下について報告を行いました。

〇本法律案を「束ね法案」として提出したことの是非
〇原子力行政における規制と利用の分離を徹底する必要性
〇省令への包括委任規定の是非を含む原子力発電所の運転期間の規律の在り方
〇高経年化した原子力発電所の安全性確保の方策
〇原子力規制委員会における審査業務の効率化及び体制強化の必要性
〇原子力基本法を改正する理由
〇再エネ導入拡大を事業規律強化に向けた取組
〇系統整備の意義と費用負担の考え方

質疑終局後、討論を行ったこと、多数をもって原案どおり可決したこと、附帯決議を行ったことを委員長として報告し、その後、本会議での討論を経て、本法律案は多数をもって可決されました。

個人的には、2015(平成27)年時の経済産業委員長時にも電力システム改革第三弾の法律案の委員会審査と委員長報告を行い、それ以来の大きな法改正である本法律案についても経済産業委員長としてかかわることとなったことから、様々な思いを抱いています。

2016(平成28)年4月に始まった電力自由化もいま、検証の必要に迫られていると考えるためです。

また、私が「束ね法案」を取り上げ始めたきっかけも2015(平成27)年の電気事業法等の一部を改正する等の法律案がきっかけでした。前回、経産委員長の任を離れた直後の2016(平成28)年2月に提出した質問主意書を皮切りに指摘を重ね続けている束ね法案の典型のような今回の法律案には立法府の一員として複雑な思いを抱くとともに、束ね法案同様、指摘している「包括委任規定」の条文もあり、双方とも今回の委員長報告で触れることとなりました。

これからも立法府の一員として、内閣提出法律案の在り方や法律の規律密度についてはこだわってみていきたいと思います。