吉川さおり 参議院議員(全国比例)

国会質疑録

行政監視委員会(2019年5月20日)

2019年5月31日

行政監視委員会で質疑に立ちました。

立法府の役割・使命として行政監視がある以上、積極的に委員会を開会して質疑を行うべき常任委員会なのですが、2年ぶりにようやく開会され、35分の質疑に立ちました。

行政の役割が法律の誠実な執行にあるとすれば、国会における行政監視とは、行政の誠実ではない活動、つまり行政による不正あるいは不当な活動を国会で質すことです。

近年の公文書改ざん、障害者雇用水増し、統計不正は行政の不正そのものであり、立法府が事実関係を質すことについては、与野党問わずその機能の発揮であり、異論はないはずです。

行政監視委員会は、1998年(平成10年)に参議院改革によって新設された委員会です。

行政監視委員会が設置された理由と経緯について参議院事務次長に確認しました。

行政監視委員会設置にあたっては、設置目的を達成するため「総務庁が行う行政監察」、すなわち現在では総務省行政評価局が行っている調査結果を活用するものとされており、今後行政監視機能を強化していくにあたり、行政評価局調査の役割は重要です。

総務省の勧告が勧告先省庁において重く受け止められず、勧告内容の改善に時間がかかったことから、事故が発生してしまった事例を引きながら、評価局調査の結果を活かす必要性と委員会で定期的に質疑を行う必要性について質しました。

また、委員会の調査結果を図る数字のひとつに委員会の開会時間があることから、平成10年に設置された委員会のため、5年ごとの平均開会時間数を参議院事務局に問うたところ、下記の数字であり、愕然としました。

○行政監視委員会設置以降の平均開会時間数

平成10年~14年:平均27時間32分
平成15年~19年:平均17時間12分
平成20年~24年:平均14時間31分
平成25年~29年:平均4時間21分

総開会時間数を5年ごとの平均で比較すると、平成25年(2013年)~平成29年(2017年)の開会時間が突出して少ないことが明らかになったからです。

第二次現政権の時期とぴったり重なっています。

また、昨年に至っては質疑ゼロですし、今年も今回の質疑3時間にとどまっています。定期的な開会、質疑により、行政の不正・不当な活動を質すことで立法府の行政監視機能を果たしていくことが必要です。

決議数も委員会設置後の前半と後半に分けて確認すると前半の10年間は7件、後半は平成27年の1件だけであることも明らかになりました。

活動が極端に低調になってしまって以降であり、本会議で全会一致で決議された重いものです。よって、決議の項目を事例に引きながら、総務省に取り組み状況と改善について見解を質し、提案も行いました。

3月25日の予算委員会で統計不正について取り上げましたが、行政評価局は「賃金構造統計基本問題に関する緊急報告」をまとめていることから、そこから推測できる問題点や課題について指摘しました。

また、地方の管区行政評価局の注目すべき調査についても複数取り上げ、活用する必要性についても見解を質しました。

行政上の課題を立法府の場で解き明かし、改善することが行政監視機能であり、立法府の役割だと強く思っているからです。

2018年6月に参議院改革協議会報告書「参議院における行政監視機能の強化」がとりまとめられました。よって、改選以降はこれに従い、行政監視委員会の充実・強化がはかられることになりますが、近年の開会状況はといえば、この5年間に至ってはほとんど開会すらされていません。

今回の報告書は、昨年、すべての野党が反対する中、採決が強行された参院議員の定数増の批判をかわすため、行政監視機能強化をうたったという側面がないとはいえないと思います。

定数増を行いたいから、その理由付けに参院の行政監視機能をうたうのではなく、日頃の活動として位置づけ、委員会を定期的に開く必要性について訴えました。

[質疑項目]
行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査

1.行政監視委員会の役割と意義[参議院、総務省、国交省]

・行政監視委員会設置の理由と経緯
・評価局勧告の重要性と勧告先省庁の対応事例

2.参議院行政監視委員会の実績と活動状況[参議院、総務大臣]

・行政監視委員会設置以降の調査実績(開会時間数)
・行政監視委員会設置以降の調査実績(決議件数)
・平成27年7月「政策評価制度に関する決議」事項に対する見解
・新たな行政監視サイクルの具体化に向けた補佐体制の在り方

3.統計不正問題と評価局の緊急報告[総務省]

・統計一斉点検の比較
・評価局の緊急報告の指摘内容
・総務省統計部局の人員体制
・5月16日の点検検証部会の結果(一般統計調査の点検)
・補佐体制強化の必要性

4.管区行政評価局の調査活用必要性[総務省、国交省]

・管区行政評価局の調査・通知例