吉川さおり 参議院議員(全国比例)

国会質疑録

議院運営委員会(2022年4月15日)

2022年4月15日

※会議録は確定稿になり次第、アップいたします。

4月15日の議院運営委員会で会派を代表して意見表明を行いました。

4月15日の参議院本会議の議事の冒頭では、裁判官訴追委員辞任と選挙が扱われることとなりましたが、今回選挙される裁判官訴追委員候補は昨年12月10日の参議院本会議において辞任が許可されたばかりと同一議員です。

裁判官訴追委員は、私が任命されている検察官適格審査委員と同様、国会における「各種委員」という扱いになっていますが、裁判官訴追委員の根拠法は国会法、検察官適格審査会委員の根拠法は検察庁法とこの点において大きな違いがあります。

つまり、裁判官訴追委員は国会法そのものに根拠があるということです。

さらに、裁判官訴追委員は、日本国憲法に規定される弾劾裁判に関わる重要な役割を担うこととなり、安直に辞任・選任を繰り返すべき性質の委員ではありませんし、ましてや同一議員が短期間にこれを繰り返すような性質の委員でもありません。

しかも、今回再度選任されることとなる議員は、今次常会冒頭で議案を扱う特別委員会の特別委員長に選任されており、裁判官訴追委員と特別委員長を兼務することとなり、この点においても問題があり、さらには事件係争中であるという点も踏まえ、このようなことは繰り返さない方がいいでしょう、という意味で一般論として意見表明を行ったものです。

もちろん、割当て会派のご判断であり、詳細について言及することは控えましたが、至極異例の事態であることについて、意見表明を行い、会議録に残せたことがせめてもの救いでした。


[裁判官訴追委員の選任に関する件 意見表明]

私は、会派を代表し、裁判官訴追委員の選任に関する件に関し意見表明を行います。

本委員会で本件が諮られた後、本日の本会議の冒頭で裁判官訴追委員辞任の件、次いで裁判官訴追委員の選挙の議事が行われます。裁判官訴追委員については、本院規則第248条第1項で「選挙は、連記無名投票でこれを行う。」とされていますが、第3項で「議院は、その選任を議長に委任することができる。」とされ、参議院先例478号で「その手続を省略して議長が指名するのを例とする。」とされています。

その手続については、当然、異論ございません。

裁判官訴追委員は、裁判官弾劾裁判所裁判員とともに、国会議員のみが任命されるものであり、日本国憲法に基づく弾劾裁判に携わる重要な役割を担っています。各種委員の中でも国会法を根拠法としていることの重みを我々立法府の人間は理解する必要があります。

昭和25年7月13日の本院議院運営委員会において、「弾劾裁判所裁判員のごとく、その委員の根拠法が国会法自体でありますのと、他の根拠法によるものとを、何らか区別して考える必要があるか」といった問題提起がなされた事実もあります。

裁判官訴追委員は、国会法自体に規定がある委員であり、なおかつ本会議でその辞任も選挙も行われるにもかかわらず、本日選任されようとしている委員については、昨年12月10日の当委員会並びに本会議においてその辞任が許可されたばかりです。

本院の歴史において辞任を許可された委員が事件係争中に再度選任されるような事例はなく、割当て会派におかれましては、裁判官訴追委員の辞任、選任について、特に留意いただくべきではなかったかと考えます。

更に言えば、昨年12月10日に本会議で辞任を許可された当該委員については、今次常会初日の1月17日、本院の特別委員長に選任されており、公正中立であるべき立場の特別委員長としてその任を果たすのであれば、特別委員長に専念されるのが筋であり、他方、裁判官訴追委員の任を果たすのであれば、昨年12月10日にそもそも辞任の許可を求めるべきではなかったのではないでしょうか。

裁判官訴追委員を辞任し、同一委員が再度選任されるという異例の事態に加え、議案を扱う本院の特別委員長と兼務状態になることの問題点、さらには事件係争中であることの特殊性については指摘しておきたいと思います。

来月5月20日、本院は創設75周年を迎えます。時代に即した議院運営を模索しつつも、日本国憲法を始め、議会の先人の知恵の積み重ねでもある法規先例を十分尊重した議院運営に努めるべきであることを申し上げ、意見表明といたします。