吉川さおり 参議院議員(全国比例)

国会質疑録

第168通常国会/厚生労働委員会議事録(2007年11月20日)

2017年11月20日

1. 最賃の抜本的引き上げについての見解、最賃と生活保護との逆転現象

○吉川沙織君

民主党・新緑風会・日本の吉川沙織でございます。
この7月の参議院選挙におきまして初めて当選をさせていただき、
また国会での質問は今日が、この厚生労働委員会での質問が初めてになります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

私の方からは、主に最低賃金法の一部を改正する法律案、
またこれの関連の御質問をさせていただきます。
まず最初に、具体的事項の御質問をさせていただきます。

最低賃金についてですが、2006年においては加重平均で673円、
2007年改定後14円引き上げられて687円という、そういう状況になっております。
ただ、2006年の673円と同年の厚生労働省の賃金構造基本統計調査における
一般労働者の1時間当たりの平均賃金を比較した場合、最賃は一般労働者の
37.2%の水準にしかなりません。

また、これは年次をさかのぼって計算をした場合でも35~37%で
大体推移をしております。これは、月例賃金の時間額と比較をしても
3分の1強の、これぐらいの水準にしかなりません。

一般労働者の場合は、ボーナスや賞与支給されますが、時間給で働く
パートタイマーの方は一部を除いて一時金等は支給されない状況にあります。

よって、一時金の支給状況を勘案すると、パートタイマーの方は更に低い水準と
なってしまう、こういう現状が存在をいたします。最低賃金をこれまで比較的低い
水準で放置をしてきたことがこのような社会のゆがみを生んでいるのではないでしょうか。

今回の最賃法の改正によって生活保護との整合性に配慮することに
なるのであれば今申し上げたような状況は改善されるのか、この御認識を
大臣の方にお伺いをさせていただきます。

○国務大臣(舛添要一君)

最低賃金の決め方というのは、公労使3者がそれぞれ地域でその地方の
最低賃金審議会というのを踏まえて、ですから地域別にその地域の事情を
踏まえて決定するということでありますけれども、今御指摘なさったように、
やっぱりこれ労働者の最低限の生活を保障するという機能があるわけですから、
今おっしゃいましたように、生活保護に係る施策との整合性に配慮するという
このことを今回明確にしたことは正に最後のセーフティーネットであるという
認識がそこにあるんだろうというふうに思います。

今回、この法律を是非成立させていただきまして、その下で今の状況を
踏まえて適切な規模での引上げを何とか実現したいというふうに思っております。

それから、今成長力底上げ戦略推進円卓会議というものを設けておりまして、
その中で、生産性の向上を考慮した最低賃金の中長期的な引上げということで、
これを政労使の間できちんと合意形成を図りたいと、そういう合意形成を含んで、
成長して生産性上がれば必ず最低賃金引上げするんだよと、
これをきちんと決めたいと、そういう方針で最低賃金の問題については
取り組んでまいりたいと思っております。

○吉川沙織君

今の大臣の御答弁の方で、政労使でこれから検討していくとございました。
働いても働いても普通に生活ができないような今の生活保護、保護というか
最低賃金の状況、これを、安心して働くことができるセーフティーネットの
整備として最低賃金の抜本的引上げは検討するに値するということで
大臣の御認識はよろしいでしょうか。

○国務大臣(舛添要一君)

私が1人で決めるというわけじゃなくて、今言ったようにそれぞれの地域の
審議会でなるべく公平に決めていただく。
ただ、今回、生活保護との整合性に配慮するというのは、みんなで
この条項をきちっと入れたことは、私は、やっぱり最低賃金は生活保護を
下回っちゃいけないと、これは当たり前のことじゃないかなと思います。

その当然の国民の認識を前提にして、様々な施策を実行してまいりたいと思います。

○吉川沙織君

ありがとうございます。
では、この生活保護に係る施策との整合性、整合に配慮するということは、
つまりは生活保護を下回ることはないという解釈でよろしいんでしょうか。

○国務大臣(舛添要一君)

今申し上げましたように、基本的にそうでなければ、何のために
最低賃金があるか分かりませんですから、委員の御指摘のとおりでございます。

○吉川沙織君

ありがとうございます。
では、実際に現行の地域別最賃の水準は、生活保護と比較した場合、
生活保護を下回るところがあるのかないのか。

最近の報道で、2007年の改定後14円アップしたけれども、
生活保護との逆転現象が解消されない地域が9都道府県もあり、
またこれ県庁所在地などに限ると更に増えるという報道もあります。
この現状を政府として放置しておいてよいと考えるのか否か、お考えをお聞かせください。

○国務大臣(舛添要一君)

今、委員が御指摘くださいましたように、下回っているところですね、
秋田、宮城、北海道、広島、兵庫、京都、千葉、埼玉、大阪、神奈川、東京と、
これで間違いないですね。これだけ上がっているわけであります。

これは、やっぱりできるだけ改善していかないといけないというふうに基本的に思っています。

地域別の最低賃金の決め方というのは3つ要素があって、
1つは労働者の生計費、それから労働者の賃金が2番目、3番目が
通常の事業の賃金支払能力、この3つで決定するということでありまして、
今の3つの決定基準で各地域の審議会で決めていただいているわけです。

これも必要があれば政府委員の方に細かいそのルールを御説明させます
けれども、生活保護に係る施策との整合性は、じゃどういうふうになっているかというと、
最低賃金と生活保護の水準との比較におきまして、手取り額で見た最低賃金額と、
衣食住という意味での生活保護のうち、若年単身世帯の生活扶助基準の都道府県内
人口加重平均に住宅扶助を加えたもの、ちょっと長くなって恐縮ですけれども、要するに、
その住宅扶助を加えたもの、いわゆる生活保護ですね、それに住宅扶助を加えたものを
比較するという考え方で来ているんで、それで公正公平な形で一応数字を出していると
いうことですが、今御指摘のようにまだまだアンバランスなところがある。

これは、やっぱり私は一つ一つ改善していく努力が必要だろうと思います。
地域によっていろんな事情が違うと思うんですね。

それで、いろんな指標を比べてみても、収入の基準、生活費の基準、
最低賃金の基準、全部、例えば東京を100としたときに青森が幾らですか、
北海道幾らですか、その指標がまあばらばらなんで、それが正に地域格差だと思います。

しかし、今委員御指摘し、私が具体的な県名を挙げたようなことがないように
するというのが、これが基本的な政府の方向であります。

○吉川沙織君

ありがとうございます。
これに関連して、先週の一部報道でこんな報道がありました。
国の統計調査によると、最低賃金を更に下回る賃金しか受け取っていない人が
パート、アルバイトの方を中心に全国で43万人に上っている、こういう報道がございました。

この実態、厚生労働省として、大臣、把握されていますでしょうか。

○政府参考人(青木豊君)

ちょっと具体的な数字を今持ち合わせておりませんけれども、
最低賃金によって、最低賃金未満での賃金になっているという人を
未満率ということで我々把握をしておりますけれども、これは、これは罰則を
もって強制をするものでありますので、1%程度というふうに考えております。

具体的な数字、それが何万人になるかということについては、
ちょっと今手元に数字がございません。

○吉川沙織君

こういう報道があって、実態を把握しているか否かということを
お伺いさせていただきましたので、御答弁をお願いいたします。

○政府参考人(青木豊君)

今申し上げましたように、最低賃金の目安というものを中央で
年1度定めております。その際には、実態調査をいたしまして、
先ほど私が申し上げたような数字を把握しているところでございます。

また、具体的な個々の事業場における個々の労働者に対する
賃金支払につきましては、それぞれ監督署において必要に応じて
立入調査をしながら調査をいたしているというところでございます。(発言する者あり)

○吉川沙織君

もう一度になりますけれども、把握されていますでしょうか。こういう実態があるかどうか。

委員長(岩本司君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
委員長(岩本司君) 速記を起こしてください。

○政府参考人(青木豊君)

調査は一応ございますので、後ほど申し上げたいというふうに思います。