吉川さおり 参議院議員(全国比例)

国会質疑録

第170臨時国会/参議院厚生労働委員会答弁録(2008年12月18日)

2008年12月18日

内定取り消し規制法案の内容と政府対策との相違点

○森ゆうこ君

まず、採用内定取消し規制法案について、その内容と
政府の対策との違いについて、これはバブル崩壊後の
まさしく失われた10年、その世代の代表として昨年初当選を
されました吉川議員にお願いを申し上げます。

○委員以外の議員(吉川沙織君)

森委員の御質問に明快にお答え申し上げます。

内定取消し規制法案につきまして、政府はそもそも法案を
用意されておりません。私は、いわゆる超就職氷河期と言われた
10年前に就職活動をし、内定通知をいただきましたが、その前年に
山一証券を始めとする多くの金融機関、企業が破綻をし、
実に1,000人以上もの学生、生徒が採用を取り消される、
内定を取り消される、そういう事態に遭遇し、すぐ上の先輩に
その姿を見てまいりました。

就職活動で内定をもらい、社会人のスタートラインに立つ道が断たれる、
これほど悲しいことはありません。とりわけ、新卒時に正社員として
働くことができなければ非正規雇用のスパイラルから抜け出すことができない、
こういうことを友人、知人を始めとする同世代の多くが今実感をさせられています。

内定が取り消されるということは、その生徒、学生さんの一生を
左右することにほかならないということを身をもって見てまいりました。

そこで、採用内定についてですが、採用内定とは、就労を始めるのが
学校卒業直後とされておりますが、既に労働契約は成立しております。
この内定取消しを規制するルールは最高裁判例として成っておりますが、
一般に残念ながら広く知られておりません。安易とも言える内定取消しが
現在発生している原因の一つでもあると言われております。

新聞報道等でも広く知られていないということは報じられております。
これまで判例として明らかになっていることを法律とすることで
無用な紛争の発生を事前に防止することになります。

労働契約法16条の解雇の条項に内定取消しも含まれる、
実質的な解雇と変わりはないという考え方を述べられる方も
いらっしゃいますが、このような契約関係が世間一般に広く
知られていなかったからこそ、10年前とは違う意味合いの
採用内定取消しが発生しているのだと強く思います。

よって、労働契約法16条とは別個に内定取消しの制限について
定めることが適当であると考えております。

採用内定を法律として規定することにより、安易な内定取消しを防ぎ、
生徒、学生の皆さんの少しでも光ある、そういう人生にするために、
そしてまた社会への信頼を裏切らないために法律が必要です。
そしてまた、これ、経費も掛からずすぐに実行できるものでもあります。
以上でございます。

○森ゆうこ君

誠に明快な御答弁ありがとうございました。
一般に知られていないからこそこの内定取消しが
これだけ社会問題化しているのだと、改めて申し上げたいと思います。