吉川さおり 参議院議員(全国比例)

国会質疑録

第171通常国会/災害対策特別委員会 議事録(2009年4月1日)

2009年4月1日

1. 緊急地震速報精度向上に向けた課題

○吉川沙織君

民主党の吉川沙織でございます。
昨年もこの時期に質問をさせていただきました。
昨年は、二つの観点から質問をさせていただいております。

一つは、今実際に運用されております全国瞬時警報システム、
Jアラートと緊急地震速報を取り巻く現状と課題について、そして
二つは、首都直下地震から想定をされる様々な状況について
質問をさせていただきました。今回は、昨年取り上げたものの
中から、幾つかの点において進捗状況を中心に見解をお伺い
してまいりたいと思っております。

そこで、まず最初に、緊急地震速報についてお伺いいたします。
緊急地震速報は一昨年の10月1日に運用が始まっておりますが、
誤報そして流すべき速報が流れなかったなど、一般向け速報を
出した9件のうち実に4件で問題が発生しており、予測精度の
向上へ向けて様々な課題と改善点があるのが現状であります。

今年の2月から、地震や防災の専門家、企業の担当者が
委員として参加する緊急地震速報評価・改善検討委員会が
開かれておりますが、この中のスケジュールを拝見いたしますと、
今日から新しい年度ですが、今年度中に結論を導き具体的な改善に
取り組む方針とされております。

しかしながら、地震はいつ発生するか分からず、課題や改善点について
すぐに取り組めるべきものに関してはこのスケジュールにとらわれず
早急に改善していくべきだと考えますが、気象庁の見解をお伺いいたします。

○政府参考人(櫻井邦雄君)

お答えいたします。
これまでの検討会、既に開かれたものでございますが、
この中で幾つかの点が既に指摘をいただいております。
緊急地震速報の周知啓発を一層推進すること、それから様々な
場面を想定した対応行動の検討及びそれを周知すること、そして
震度等の予測精度の向上といったことについて、委員の方々から
既に改善すべきとの御指摘をいただいておるところでございます。

これらの御指摘の中で、既に緊急地震速報のリーフレットの改善を
行いました。それから、技術的な面ではございますが、震度のより
適切な予測を行うための取組の一環といたしまして、地震の規模、
これはマグニチュードと呼んでおりますが、その推定式の改善を
速やかに行いたいというところでございます。

今年度もこの検討会を数回行うことを予定してございまして、ほかの
事項につきましても引き続き検討してまいりたいと思っておるところでございます。

○吉川沙織君

今、リーフレットの改善は既にお取り組みいただいたとの
御答弁がございました。改善できる内容に関しては、今
おっしゃっていただいたものにとらわれず、ほかにも一刻も早く
取り組んでいただきたいと思っております。
と同時に、緊急地震速報の内容に関して正しい理解が
一層促進されますよう、取組を進めていただきたいと思っています。

先月、気象庁が発表されました平成20年度地震及び
火山に関する防災情報の満足度調査によると、緊急地震速報に
関する認知度は、運用開始前と比べると一気に上がって96.6%
となっていますが、理解度はやはり低く、76.7%となっております。
緊急地震速報の意味を知ってて対応を講じた場合とそうでない場合
の生存率に差が生じるという実験結果もございますので、是非周知に
取り組んでいただきたいと思っております。

それでは、また違う側面からお伺いをさせていただきます。
今日から、緊急地震速報を活用し、不特定多数の人が利用
する対象となる施設が緊急地震速報の受信装置を整備した場合に、
所得税、法人税、固定資産税を軽減される措置が始まることになります。

ただ、この場合、大規模地震対策特別措置法などで定められたエリアに
限定されてしまいます。全国のいつどこで地震が発生するか分からない以上、
エリアを限定すべきではないと考えますが、内閣府の見解、限定すべきか、
そうでないかというところだけで結構でございますので、お願いいたします。

○政府参考人(大森雅夫君)

御指摘の税制措置の対象地域でございますけれども、東海地震に
係る地震防災対策強化地域等、三地域となっております。これに
つきましては、大規模地震が発生する蓋然性が高く、発生した場合に
甚大な被害が予想されるものとして大規模地震対策特別措置法等の
規定に基づき指定された区域を対象としているものでございます。

ただ、先生今御指摘のように、地震は全国どこででも起こり得る
ものでございます。他の地域でも地震防災対策を推進していく
必要があることは言うまでもございません。
本対象地域については、21年度から緊急地震速報受信装置を
対象資産に加えるなどの見直しを行ったばかりでございます。

ということで、当面は新たな税制の効果を検証することが
重要であると思っております。

今先生のおっしゃられた趣旨を踏まえながら、本特例措置の
更なる見直しを含め、関係省庁とも相談しながら必要な検討を
行ってまいりたいと思っております。

○吉川沙織君

検討を行うということですが、この対象に、発生確率が今後
30年以内に70%とされております首都直下地震の想定範囲も
エリアとなっていませんので、少しずつでもいいから検討を早く
進めていただければと思っております。

そしてまた、この緊急地震速報はいろんなツールで流されることに
なりますが、テレビでも流されることになります。これに関しては
昨年のこの質疑でもお伺いをさせていただきましたが、2011年の
7月24日でアナログ放送はアナログ波の停波によって地上デジタル
放送へと移行されることになっています。
しかしながら、この地デジでは情報の圧縮と複合に時間が
掛かってしまい、アナログ放送に比べ1、2秒程度の遅れが
生じることになります。この1、2秒が生死を分ける場合があることを
考えますと、一刻も早い改善が望まれます。

昨年の御答弁では、情報処理の時間を低減するための
高速処理アルゴリズムの研究開発に取り組んでいるとの
ことでしたが、その後の研究開発の状況について端的に
お教えいただければと思います。

○政府参考人(久保田誠之君)

委員御指摘の地上デジタル放送でございますけれども、
この遅延につきまして、今お話ございましたように1、2秒
どうしてもございます。

先ほど御質問ございましたように、昨年答弁申し上げました
研究開発の状況でございますけれども、映像の情報、この圧縮処理を
どうやって速めるかということで研究開発を行ったわけでございますが、
遅延を四割程度圧縮することができるという成果が得られました。

具体的にこの機材の実用化にも今めどが付いたところでございまして、
今後、放送事業者に対しまして、放送機材、この更新でありますとか、
それからソフトウエアのバージョンアップ、そういう機会をとらえまして
この研究開発成果を活用していただくように働きかけを行っていきたい、
このように考えております。

○吉川沙織君

昨年より明らかな進歩が、進捗があるということは評価するに値する
と思います。ならば、実用化に向けて見通しがあるのかないのか、あれば
時期についてだけお教えいただければと思います。なければ結構でございます。

○政府参考人(久保田誠之君)

今申し上げましたように、実用化のめど、それから製品化のめども
付いております。
ただ、既に送信側、具体的に言いますとマスター設備という送信側の
設備なんですが、既に従来のものがもう入っておりますので、これを
順次更新をする、あるいはバージョンアップをする、そういうときをとらえて
換えていくということでございますので、これはお願いをするということに
なりますが、やはりこの重要性にかんがみまして、早めに交換をして
いただくようお願いしてまいりたいと思っております。

○吉川沙織君

今の御答弁の中で、お願いをしてまいるということでしたので、
是非強く指導をしていただければと思っております。