吉川さおり 参議院議員(全国比例)

国会質疑録

第171通常国会/決算委員会議事録(2009年6月22日)

2009年6月22日

4. 若年者雇用対策に係る個別事業の重複・執行残

○吉川沙織君

次に、厚生労働省が実施する若年者雇用
対策の個別事業の重複についてお伺いいたします。

平成15年度の実施事業は20、平成17年度は24、
平成19年度の実施事業数は36、平成21年度、
つまり今年度は43事業と、右肩上がりに増えている
状態にあります。
これらの中には非常に似通っていると思われる事業もあります。

例えば、先ほど申し上げました若年者就職基礎能力支援
事業・YESプログラムと、廃止になりましたけれどもジョブ
パスポート事業は、いずれも能力証明書や経歴証明書を
発行するという点で両者の違いがよく分かりません。また、
昨年4月から始められたジョブ・カード事業も似たような
側面を持っている事業であります。

4月20日の決算委員会で厚生労働大臣は、
「とにかく予算を付けるためにいろんな事業をつくるという
面もあるということを御理解いただければと思います。」と
答弁なさいましたが、利用者である若者から見て決して
分かりやすいものではありません。

少なくとも、重複ある事業は整理して一本化していく
必要があると思いますが、改めて厚生労働大臣の
御見解をお伺いいたします。

○国務大臣(舛添要一君)

若者向けにたくさんメニューがあった方がいいなというのが
まずあります。それは、予算の獲得ということもありますけれども、
ただ、これはフォローアップをしっかりしないといけないんで、
やってみて余り人気がないとか、さっきのジョブパスポート事業と
いうのはジョブ・カード制が入ったのでこれはやめると、そういう
整理統合もやっていかないといけないというふうに思いますし、

今後はもう少し現場の若者の声を聞いて、どういう名前だったら
食い付いてくれるのかねということもやりたいと思っていますので、
霞が関の感覚だけではどうしても駄目だというふうに思いますから、
そういう点も取り入れて効率化、改善を図っていきたいと思います。

○吉川沙織君

これは前回の決算委員会でも申し上げましたけれども、
多過ぎるんですよね。もちろん、若年者雇用対策はどんどん
やっていただきたいんですけれども、前も申し上げましたが
再度申し上げます。

ジョブという名が付く事業だけでも、
ジョブカフェ、ジョブ・カード、ジョブサポーター、ジョブパスポート、
ジョブクラブ、ジョブミーティング、ジョブトレ、ヤングジョブスポット、
ジョブパーク、ほかにもいっぱいあります。

質疑に当たっていろいろ調べてみても、やっぱりどれが
何だかさっぱり分からない、理解に苦労いたしました。
ですから、利用する若者が利用しやすいメニューに一元化していく、
予算の規模は変えないであっても、やっぱり一元化していくという
動きは必要なんじゃないかと思っています。

そこで、平成19年度決算の観点から一点だけお伺いいたします。
19年度に実施していた事業の決算額を拝見いたしますと、
予算額に対して非常に決算額が小さいもの、若しくは執行残が
生じたものがあります。平成17年度から19年度まで執行率が
それぞれ34.36%、42.86%、46.15%で推移しているなど多額の
執行残が生じている事業や、そもそも決算額が示されていない
事業などが散見されます。

やっぱりこれは事業メニューが多過ぎることによって
利用者に分かりにくいという側面が否定できないのでは
ないかと思いますが、一言でお願いできますでしょうか。

○国務大臣(舛添要一君)

なかなか一言で言えなくて、これはよく分析をしてみないと
いけないと思いますが、今委員の御指摘の点は、これは
十分次年度予算に反映させるように努力したいと思います。

○吉川沙織君

数をどんどん増やした事業の中には、残念ながら誤った
認識に基づいてつくられてしまったのではないかと思われる
事業もあります。

例えば、平成19年度まで行われていました若者の人間力を
高めるための国民運動であります。先ほど取り上げました
社会人基礎力や就職基礎能力のように、○○力を好んで
使用されている一例でもありますが、若者に人間力、ないんでしょうか。

ちなみに、若者の人間力を高めるための国民運動の
パンフレットをウエブサイトからダウンロードしてみたのですが、
このURLをたたいてみますと既にリンク切れ残念ながら
起こしているようなものもあります。

前回の決算委員会でも申し上げましたが、若年者雇用の問題は、
最近になって若年層の意識が劣化したために生じているのではなく、
企業が残念ながら採用を抑制せざるを得なかったという需要側の
構造的な要因で生じているものであります。

それにもかかわらず、今年度の若年者雇用対策の資料を
見ても、若年層が的確な就職活動を行えないとするなど、
若者の側にのみ原因があるかのごとくの表現がなされています。
とともに、若者に人間力などの力が付けば解決する問題として
事業を打っている側面が少なからず見受けられます。
この点については明確に認識をしていただく必要があると
思いますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

○国務大臣(舛添要一君)

人間力とか基礎力を付けることは悪いことではありませんが、
若者に原因があるんじゃなくて、私が何度も申し上げていますように、
企業の慣行として新卒者ばかりを採ると。

だから、既卒者を採ってくれということを、これは直接私も
経団連に赴いて何度もお願いしていますし、会うたびに
お願いしていますので、今後とも既卒者に対する開放と
いうことは努力してやりますので、企業側にも責任があると思っております。