吉川さおり 参議院議員(全国比例)

事務所だより

議院運営委員会(2021年3月18日)

2021年3月18日

議院運営委員会で質疑に立ちました。

新型コロナウイルス感染症対策について、1月7日に発出された二度目の緊急事態宣言は、二回の延長を経て、3月21日をもって解除されることとなりました。国会報告の場として議院運営委員会が開会され、「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の終了に関する件」について、総理出席の下、12分間という短い時間ですが、会派を代表して質疑に立ちました。

1月7日の宣言発出時の質疑・答弁内容を踏まえ、今回の解除にあたって総理にまず質したのが、それまでの「感染拡大防止と経済活動維持の両立」の方針を転換し、「感染拡大防止を最優先として取り組んでいく」と西村大臣が答弁したことに触れ、今回の解除で「再び感染拡大防止と経済活動維持を両輪として取り組んでいく方針に転換するのか」ということでした。

次に、緊急事態宣言発出や解除、区域変更の際に国会報告の場がある意味について問いました。

たとえば、今回の解除にあたっても、基本的対処方針を変更するための諮問委員会が事前に開かれており、委員間で活発な議論がなされています。1月7日の諮問委員会の議事録を見てみると、諮問委員会に当初示された基本的対処方針(案)と委員の意見を踏まえ、最終的に決定された基本的対処方針の内容は異なる部分がありました。

そのときの主な変更点は、解除の基準について(案)にはなかった表現が加えられていたことですが、1月7日の国会報告の場である議運委での西村大臣の報告には、当日朝開かれた諮問委員会で議論があり、(案)から変更になった点があり、それが解除の基準であったこと、などという点は一切報告がありませんでした。

当日、西村大臣の報告文章に、諮問委員会で解除の基準について多くの議論があり、案文を変更した、との報告があれば、私の質疑内容はそれを反映して変わったはずです。

さらに、3月5日(1都3県の宣言について2週間宣言延長決定した日)に開かれた諮問委員会の議事録は、質疑前日、3月17日の夜に公開されましたが、それを見ると、3月5日の議運委員会でまったく報告のなかったリバウンドに対する懸念が多く示されていることが分かりました。

緊急事態宣言の発出・解除にあたって、国会への事前報告が行政監視の観点から盛り込まれたことを踏まえれば、諮問委員会で示された意見について提示したうえで、政府が宣言の発出・解除という判断をした論拠について十分に説明し、国会において議論することが望ましいのではないか、と政府の見解を質しました。

次に、発出・解除にあたっての基準について問いました。現在は、分科会が示した6指標を総合的に判断し、ステージ4相当で宣言、ステージ3相当となった場合は解除とされていますが、そうであれば、3月5日時点で解除となったはずで、分かりにくいと指摘されています。指標の見直しについての報道もあり、より分かりやすい基準を示すべきと指摘しました。

宣言発出時の諮問委員会議事録に、「一回緊急事態宣言を出して解除した経験がある」「その経験をどのように次に生かしていくのかということが非常に大事」と委員の発言があります。

基本的対処方針では、飲食店に対する時短営業やテレワークの推進等が掲げられましたが、たとえば、飲食店の営業時間を20時までとすることで新規感染者数をどのくらい減らせたのか、21時までにした場合との比較などを検証したのか否か、感染再拡大に備えて、検証する際に必要な情報を収集・検討しているのか否かについて、政府の見解を質しました。

政府は、2017年からEBPM (証拠に基づく政策立案)を推進しています。

緊急事態宣言中から、後の検証を念頭に体制を整備する必要性、どこでどのように検証するか決めておく必要性について総理に問うたところ、「そこは明確にする必要があると思う。ご指摘を受けさせていただく」との答弁がありました。

これまで、何がどの程度有効だったのか、どの程度感染拡大防止に寄与したのかデータをもって示すことの重要性、検証の際にどのようなデータが必要になるか検討し、集積する必要性について指摘し、このような取り組みの積み重ねが開かれた政策決定につながり、国民の予見可能性を高めることにつながると指摘し、12分間の質疑としました。

[質疑項目(新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の終了に関する件)]

1.感染拡大防止と経済活動維持

・経済活動維持の両立から感染拡大防止最優先への方針転換を解除で元に戻すのか否か

2.基本的対処方針(案)と決定された方針との差異

・1月7日宣言発出時の諮問委前後の基本的対処方針の記述の差異

3.緊急事態宣言の発令・解除基準の見直し

・現在の6指標に対する見解

4.緊急事態宣言の効果検証

・政府における検証の状況
・検証に必要なデータの集積状況
・検証方法確立の必要性