束ね法案と一括審議-その3

私の思いは、ほぼ「束ね法案と一括審議-その1」に
収斂されていますので、もういいかなぁ、とも思った
のですが、書くと宣言していましたので、少しだけ
書きたいと思います。

結論から申し上げると、私の問題意識は、極論すれば、
今の時代を共に生きる人にとっては関係ないものなの
かもしれません。

束ね法案は、後世の方が、その時の国会(立法権)で、
どのような法案が審議されたのか、という記録を振り
返った時に、詳細までを調べない限り、法案名から
何が審議され、どのような法案が含まれていたのか、
辿り着けない恐れを包含しています。

幾つもの法律案が束ね法案として、内閣(行政権)
から国会(立法権)に提出されてしまうと、提出
法案は外形上、もちろん1本です。

さらに、「束ね法案と一括審議-その2」で紹介した
とおり、「○○法等の一部を改正する法律案」として
しか採決されず、「○○法等」の「等」にどのような
法案が含まれているのか、法案名から推測することは
不可能です。

もちろん、当該法案に深く関わる当事者やその関係者
であれば、「○○法等」の「等」にどのような法案が
含まれているかは分かることでしょう。

しかしながら、後世の方が、会議録を振り返った際、
法案名で検索しただけでは、すぐに詳細に辿り着く
ことはできません。

逆に、「○○法の一部を改正する法律案」と
「××法の一部を改正する法律案」と別々に国会に
提出された法案を、まとめて一括審議する方が、
後世の方が辿り着きやすいのではないかと思う
ぐらいです。

ここで、具体例を見てみたいと思います。

例えば、電力システム改革法案ですが、第三弾まであります。

第一弾改正:電気事業法の一部を改正する法律案

第二弾改正:電気事業法の一部を改正する法律案

第三弾改正:電気事業法の一部を改正するの法律案

これだけ見ると、全て同じ法律案に見えますが、
含まれるものは全く違っているのです。

下記で細かく見てみたいと思います。

第一弾改正:
単体の法改正ですので、含まれるのは電気事業法1本のみです。

第二弾改正:
電気事業法の一部改正と商品先物取引法の一部改正の2本です。

第三弾改正:
電気、ガス、熱、省庁設置など大きな改正7本(下記)です。

1.電気事業法の一部改正
2.ガス事業法の一部改正
3.熱供給事業法の一部改正
4.経済産業省設置法の一部改正
5.電気事業会社の株式会社日本政策投資銀行からの借入金の担保に関する法律の廃止
6.沖縄振興特別措置法の一部改正
7.電気事業法等の一部を改正する法律の一部改正

例えば、ガス事業法に至っては、これまで電力システム
改革第一弾、第二弾で行ってきた電気事業法改正に匹敵
する改正を、第三弾のガス事業法改正1回でまとめて行う
など、単体の法案として審議するに値する改正内容で
あると指摘して過言ではありません。

これだけの内容が審議されるにも関わらず、
外形上の法案は束ねて国会に提出されたこと
により、「電気事業法の一部を改正する
法律案」、ただ1本なのです。

後世の方がこの法案名から、果たして、電気も
ガスも熱も省庁設置に関する法改正も審議された
ということが推測できるのでしょうか。

立法府に身を置く議会人のひとりとして、
束ね法案に対して問題意識を持つ理由の
ひとつがここにあります。