吉川さおり 参議院議員(全国比例)

国会質疑録

総務委員会 議事録(2011年10月27日)

2011年10月27日

○吉川沙織君

最後の項目として、ずっと質問させていただいて
おります防災行政無線の整備についてお伺い
したいと思います。

今回も防災行政無線のスピーカーから
流れる音を聞いて逃げて難を逃れた方が
大勢いらっしゃいます。でも、そのスピーカー
から流れてくる音すら聞こえない自治体が
いまだに多く残されているという現状にあります。

そういう中で、防災行政無線の実質的な
整備率を考える上に当たっては、市町村
合併の影響を除いて考えなければなりません。

例えば、市町村合併して片方の市町村に
あったけれども吸収された方にはなかったと
なったら整備済団体としてカウントされてしまう
からです。

これまで、平成20年3月末現在では70.9%、
平成21年3月末では71.1%になるということは、
これまでのこの総務委員会の中で、実は質疑の
中で答弁いただいています。

それでは、市町村合併が行われなかったと仮定
した場合の平成22年3月末の防災行政無線の
整備率について教えてください。

○政府参考人(久保信保君

一番新しい平成22年3月末時点での整備
状況、これを合併が進展する前の平成16年
3月時点での市町村数3,155、これを基に
算出をいたしますと71.5%となります。

○吉川沙織君

平成元年3月末の整備率は43.6%ですから、
これに比べれば整備は上がっていると言える
と思います。

しかし、市町村合併が一気に加速する前の
平成16年3月末の整備率は67.8%ですから、
今最新ので71.5と御答弁いただきました、比較
すると、ほとんど整備が進んでいないということが
言えると思います。

総務省は、自らの政策評価の中で、着実に増加、
進展しているという言葉をずっと使ってこられました
が、1年前のこの総務委員会でどうなんですかと
申し上げましたところ、これはゆっくりだよねという
御答弁を当時の大臣からいただきました。

総務省としてもこれ、この2年の政策評価の
中には着実という言葉が入っていないんです
けれども、これはやっぱり、ゆっくりということ
でしょうか。

○政府参考人(久保信保君

確かに、最近の増加率、緩やかになっております。

○吉川沙織君

ありがとうございます。
防災行政無線の整備を政府として本気で
進めようと思っているのであれば、これは
もうずっと政権問わずですけれども、自治体に
地方債を起こさせてその元利償還金を普通
交付税措置する現在の手法は、防災行政
無線の整備が今御答弁いただきましたとおり
頭打ちになっています。

だから、この現状に鑑みても限界があるのは
明らかであると言えます。自治財政局長を
歴任された長官であれば、かつてこの件でも
実はやり取りをさせていただいています、よく
御存じであると思いますけれども。

現在の手法では整備が進まないという厳然たる
事実を直視して別の方策を講じることも考えては
どうかと思いますけれども、今後どのような形で
整備を進めていくおつもりでしょうか。

○政府参考人(久保信保君

御案内のように、基本的には市町村の一般財源で
整備をしていくということになってございますけれども、
今回の東日本大震災がございまして、未整備の
市町村でも防災行政無線が極めて重要なんだと
いう認識は相当広まっていると私ども思っております。

現実に、私どもに対しまして、そういった市町村からの
この整備についての財源措置等の問合せ、これは
相当多く最近来ております。

私ども、この度提出をさせていただくことになりました
第三次補正予算におきまして、避難所になります学校
あるいは病院などと市町村の庁舎におきまして双方向で
可能となります防災行政無線、これを整備するための
補助金といったものを新たにつくって、これを御審議
いただくということにしております。

基準事業費に対しまして3分の1の補助で、
予算としては36億円を計上する、そういった
つもりでございます。

○吉川沙織君

今の措置でどの程度進むと思われますか。

○政府参考人(久保信保君

どの程度進むのかと言われましても、こう進むと
断言するものは持ち合わせておりませんが、
それでもいろんな、何といいますか、実際に事業を
請け負って工事を担当するようなベンダーとかですね、
そういったところから、大体どれぐらいの事業費が
掛かるんだろうかということをヒアリングをした結果、
算定をしていきますと、まずこういった金額で始める
のが現実的ではないのかというふうにお聞きをして
おりますので、まずこれでどういう進捗状況になるのか、
そういったことを検証してみたいと考えております。

○吉川沙織君

今は自治体財政厳しい折、地方債を起こすと
いうのはやっぱりハードルが高いと思います。

実際、長官が自治財政局長時代の平成21年
4月6日の決算委員会で同じ旨の実はやり取りを
させていただきました。

そのときの答弁は、
「住民の生命、身体に関係する話ですから、
健全化法が施行されてもそれは優先して
やっていただいて、なおかつ健全化の指標も
いい指標が出ていただくことを期待しております。」
と答弁なさいました。

でも、今申し上げたとおり、市町村合併前から
今に至るまでほとんど整備率が向上していない。

ですから、もうほかの手法を考えるのか、それとも
国として国民の生命、身体を守るために一気に
やっていくのか、その判断を迫られている時期では
ないかと思いますが、その答弁に対して何か御感想
ありますでしょうか。

○政府参考人(久保信保君

やはり、整備というのは、こういった大きな震災が
起きましたら、それを契機にある程度のスピードで
やっていくことが望ましいと思っております。

今回、補助金をあえてまた要望をさせていただき
まして、また予算としても財政当局からも理解を得て
提出をできるということになったというのは、私どもの
そういった政府全体での意気込みだというふうに
御理解をしていただきたいと思います。

○吉川沙織君

今、いみじくも大災害が起こってというお話を
されましたけれども、元々消防行政は国民の生命、
身体を守るために国がイニシアチブを取ってやるべき
だというのは、こんな大災害が起こる前からずっと
いろんな委員会で申し上げてまいりました。

でも、結局いろいろ見返してみますと、それぞれの
地域でいろんな大災害が起こって、それでようやく
消防の予算が付くというような現状になってしまっています。

もちろん、一義的には消防行政を進めるのは
地方自治体の役割ですけれども、国ができることは
国としてやっていかなければならないと思います。

消防審議会の今年6月の資料によりますと、
消防庁は、岩手県、宮城県、福島県の全市町村に
対してアンケートを実施し、ここから防災行政無線
等の住民に対する情報伝達体制に関して見直す
べき事項として情報伝達手段の強化と計画の見直し
等の2つを掲げています。

これら、どれも本当に大事ですけれども、今後いつ
起きるか分からない大災害に備えて早急に対策を
講じていかなければなりません。

今いろんな形で答弁いただきましたけれども、
これらの内容を少しでも着実かつもう本当に
進めることで、国民の生命、身体を守るため、
国を挙げて取り組んでいかなければならない
課題であることを再度申し上げまして、私の
質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。