吉川さおり 参議院議員(全国比例)

国会質疑録

災害対策特別委員会 議事録(2012年3月23日)

2012年3月23日

○吉川沙織君

ただ、エムネットは官邸からの情報を迅速に
伝達するための一斉の同報システムでは
ありますが、その情報伝達先は都道府県や
市町村、関係省庁や放送事業者であって、
住民の皆様にその情報が直ちに直接届くと
いうシステムではございません。

ですから、Jアラートであれば、衛星に情報が
行って、そこから市町村の防災行政無線に
行ってそこから警報を鳴らしますので、ものの
20秒で伝達はできるということになりますが、
エムネットの場合は官邸から情報を発信して
情報伝達先に行って、そこからやっと住民の
皆さんにどうやって伝達をするかということに
なりますから、速報性の観点で若干課題が
残されていると思います。

ですから、対国民の皆様、対住民の皆様に
対する情報伝達の在り方として、やっぱり
エムネットはもちろん使用されるんでしょうけれども、
Jアラートの活用も今回は求められておりますし、
整備は進んでいますので、いま一度官房副長官の
御答弁いただければと思います。

○内閣官房副長官(長浜博行君

先ほど御説明を申し上げましたように、委員に
前回御質問いただいたときから、委員の御尽力
によるところが多いのかもしれませんが、予算的な
整備も進んでおりますので、今回御指摘のあった
部分において、ある意味での弱点を克服しつつ
ありますので、そういう意味においては、先ほど
おっしゃられたとおり極めて前向きに検討している
ところでございます。

○吉川沙織君

ありがとうございます。
もう一つ、実は3年前の北朝鮮のミサイル発射
事案の際には一回誤報が出て、誤報がある意味
訓練になったというような報道もありましたけれども、
3年前の北朝鮮弾道ミサイル発射後の都道府県
防災・危機管理担当部局長等と防衛省・自衛隊に
よる意見交換会というものが2009年4月27日に
開かれております。

この際、ミサイルが上空を通過した秋田県の資料に、
今後の課題として国の窓口の一元化というものが
挙げられています。ここには、各省庁がそれぞれ
対応して、省庁内でも対応窓口が異なるといったような
内容が指摘されています。今回は3年前の教訓、反省も
ありますので、そういう対応を取られると思うんですが、
副長官のお答えをお願いいたします。

○内閣官房副長官(長浜博行君

今回のケースにおいては、先ほど申し上げましたように、
北朝鮮の放送が流れた直後に官房長官の指示が出、
そして官邸情報連絡室を既に立ち上げておりますので、
御指摘の部分においては省庁ばらばらにならないような
形で注意を図ってまいります。

○吉川沙織君

是非よろしくお願いいたします。
それでは、防災担当大臣にお伺いいたします。

3年前の教訓を踏まえ、Jアラートの全国整備や
高度化、内閣官房副長官からも御答弁いただきましたし、
実際随分進みました。

そもそも今回のような事案に備えて、反省を
踏まえて整備をしてきたということですから、
エムネットはもちろん使ったとしてもJアラートを
組み合わせて、考え得る、でき得る限りの情報
伝達手段を講じて住民の皆様、国民の皆様に
伝達をしていくということが国の責務であると思います。

今回の事案に関しましては国民保護という観点に
立ちますが、Jアラートが送信する情報、23種類
今規定ございますけれども、その中には緊急地震
速報や津波警報といった内容も含まれています。

ですから、防災の観点にも立って整備が進められて
おりますので、防災担当大臣の御所見をお伺い
できればと思います。

○国務大臣(中川正春君

災害が起こったときに多重な情報システムというのを
それこそ隅々に配備をしていくということ、これは一つの
大きな課題だし、ポイントだと思います。

そんな中で、Jアラートを有効に使っていくということ、
これは御指摘のとおり、しっかりと考えていくということです。

ただ、これ、東日本大震災のときのアンケート
調査の結果を、御質問があるというので私も
ちょっと目を通していたんですが、5団体が例えば
津波で対象になってくるんですけれども、自動起動
したのが2団体だけだったんですね。

そういう意味からいうと、何らかの形でもう少し
工夫をして、これが生きる在り方というのを考えて
いかなきゃいけないんだろうというふうに思います。
そういう研究課題があるということを前提にして
是非進めていきたいというふうに思います。

○吉川沙織君

防災担当大臣からも前向きにいろいろ検討を
していきたいという御答弁をいただきました。
また、東日本大震災で、受信をしても、そこから
市区町村に整備をされている防災行政無線が
自動起動したのはたったの2団体ということもございました。

Jアラートは、3年前の事案を受けて、全国整備
費用として百億を超える措置がされましたけれども、
その先の市町村の防災行政無線は、市町村の財政
状況が厳しい折にもかかわらず自分たちで整備を
しなければいけないという、そういう観点になって
いますので、なかなか整備も進んでいないというような
状況があります。

防災と国民保護には、情報伝達や避難の在り方と
いって共通する課題もたくさんございます。一方で、
防災は自治事務です。でも、国民保護は法定受託
事務であるという事務の性格の違いもあります。

しかしながら、双方とも国民や住民の皆様に対して
生命、身体を守るための情報伝達を講じていかなければ
ならない、それが国の責務でございますし、今回の
事案においても余計な不安をあおるようなことがあっては
ならないと思いますが、ただ、伝えるべき情報はテレビが
やっぱり早かったというのではなくて、いろんなものを
こういう事態に備えて整備をされているのですから、
是非前向きに検討をしていただきたいということを
申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。