吉川さおり 参議院議員(全国比例)

国会質疑録

第171通常国会/決算委員会議事録(2009年6月22日)

2009年6月22日

2. 若年者雇用対策・就労支援に係る関係省庁間の調整1/2

○吉川沙織君

次に、厚生労働省と経済産業省の
省庁間連携についてお伺いしたいと思います。

厚生労働省と経済産業省の間では、厚生労働省が
行っているジョブカフェ事業と経済産業省が18年度までの
3年で行っていたジョブカフェモデル事業のように、非常に
似通った事業を行っている部分があり、両省の仕切りが
余りよく分かりませんでした。

若年者雇用対策に係る両省の違いについて
経済産業大臣にお伺いいたします。

○国務大臣(二階俊博君)

ジョブカフェの件につきましては、私も現地へ、船橋市の
ジョブカフェを見学に行ってまいったこともございますが、
若者の皆さんが非常に積極的に御参加をいただいて、
一緒になって就職活動を支援をしている姿を拝見したものであります。

今お尋ねありましたように、厚生労働省は主に
カウンセリングなどの求職者向けのサービスの
充実を中心に支援を行っていただいております。

他方、私どもの経済産業省は、中小企業の人材確保
という観点から、企業の魅力発信や企業と若年者との
接点の提供といった中小企業向けのサービスを中心に
支援をしております。
経済産業省が支援する地域では厚生労働省との取組が
相乗効果を発揮しており、平成16年度から昨年度までの
累計で約27万人の就職を実現する、これは私どもの
経済産業省の分でございますが、27万人の就職の実現等
大きな成果を上げていると考えております。

今回の補正予算におきましても、新たにジョブカフェの設置、
あるいは臨時的といいますか週に何回というふうなジョブカフェの
ようなものをつくっていこうということで、今いろいろ地域の御要望を
伺っておるところでありますが、各方面から地方の拠点として
ジョブカフェをやっていきたいという希望をたくさんちょうだいしておること、
これにしっかりこたえていきたいと思っております。

○吉川沙織君

今、二階大臣、成果の方を強調なさいましたけれども、
このジョブカフェにおける就職決定者数は、正社員、非正社員を
問わない形であり、雇用の質がまず確保されていません。

と同時に、私、厚生労働省との事業の違い、今あっせんか、
それとも中小企業との橋渡しかというお話ございましたけれども、
個人的に勉強してもなかなか理解し難い側面がございました。

また、今御答弁の中で触れていただきましたけれども、
経済産業省のモデル事業は16年度から18年度として
展開されていましたが、今御答弁いただきましたとおり、
昨年度の補正予算で15億、そして今年度の補正予算で
9億が計上されています。

いろいろ気になっていろいろ見ていましたところ、内閣府が
運用しているウエブサイトがございます。これ、ニュートラという
ものなんですが、ニュートラを拝見すると、経済産業省の御担当者、
モデル事業が終わった段階で、つまり平成18年度末で、その先は
自立していただかないと困ります、最初からその約束ですからと
述べたものがいまだにウエブサイトに載っています。

いずれにしても、確かに細かいところできめ細かな対応を
上乗せでするというところで差異はあるのかもしれませんが、
非常にそれが分かりづらいというのが現状ではないでしょうか。

もちろん、そのサービスを受ける若年層にとってみれば、
良いサービスを受けることができれば問題はないわけで
ございますが、省庁間の事業重複という側面は否めないと思います。

そこで、次に、最近の若者はコミュニケーション能力等が
低下しているとの認識の下につくられたとされる事業に関して
お伺いいたします。
まず、経済産業省が実施している社会人基礎力育成・評価
システム構築事業について、この事業名にある社会人基礎力について
何かを経済産業大臣にお伺いいたします。

○国務大臣(二階俊博君)

社会人基礎力ということは、社会人で多様な人々と共に
仕事を行っていく上で必要な基礎的な能力として平成18年に
経済産業省が提唱したものです。

具体的には、前に踏み出す力、あるいは考え抜く力、
チームワークで働く力、この3つの能力が必要だということで、
そういう能力を引き出していく。経済産業省では社会人基礎力の
育成のために、大学においてもモデル事業を実施するとともに、
多くの大学の参加を得て、学生が取組の成果を発表する大会を
開催したりしておるわけであります。

しかし、これは、今御質問にもありましたように、社会人基礎力と
いうことは、まだまだ必ずしも人口に膾炙されておるとは言い切れない。
したがって、こうした面についてはもっと若い人たちの御意見も
吸収して、このことに対して、私は発想は確かにいいと思うんですが、
これにもっと成果を収めるように今後努力をしていきたいと、
このように思っております。

○吉川沙織君

社会人基礎力は、アクション、シンキング、チームワーク、
この3つの連係ということでございましたけれども、続いて、
厚生労働省が実施されている若年者就職基礎能力支援
事業・YESプログラムについて、この事業名にある就職
基礎能力について何かを厚生労働大臣にお伺いいたします。

○国務大臣(舛添要一君)

今御質問の就職基礎能力というのは、これは企業
調査を行って、企業が採用に当たって重視する能力を
5つの分野で整理したと。
具体的には、第1がコミュニケーション能力、第2に職業人意識、
第3が基礎学力、つまり読み書き、計算、計数、数学的思考力、
社会人常識、4番目がビジネスマナー、5番目が資格取得。
以上であります。

○吉川沙織君

今、コミュニケーション能力、職業人意識、基礎学力、
それからビジネスマナー、資格取得ということでございましたが、
これ、それぞれの資料、それぞれの省庁が出されている資料を
調べてみますと、
経済産業省が実施している社会人基礎力とは企業が職場で
求める能力であり、厚生労働省が実施している就職基礎能力とは
企業が若年者に求める具体的な能力であるとされています。
企業が学生に求める能力という点で何ら差異はないと考えられます。

強いて、違いを探してみました。
すると、経済産業省は、このプログラムを修了すると
振り返りシートをくれる。厚生労働省は、このプログラムを
修了すると就職基礎能力修得証明書が厚生労働大臣名で
手渡されるという点です。しかしながら、企業が学生に求める能力、
力を養成するという点においては同一ではないかと思われますし、
重複しているのではないかと言えるのではないでしょうか。

また、それぞれの事業に投入された予算を調べてみましたところ、
経済産業省の社会人基礎力に関しては、平成19年度9,700万円、
平成20年度5,700万円、平成21年度、倍の1億3,600万円。

若年者就職基礎能力支援事業、これ、ごっちゃになって
いますけれども、厚生労働省の方ですが、平成17年度ぐらいから
追ってみますと、経済産業省と合わせて、平成19年度が7,900万、
平成20年度が9,100万、平成21年度が8,000万円で、それぞれ
総額すると、それぞれの年度で2億弱掛かっている
というような計算になります。