吉川さおり 参議院議員(全国比例)

国会質疑録

第173臨時国会 /国民生活・経済に関する調査会 議事録(2009年11月25日)

2009年11月25日

○吉川沙織君

では続いて、先ほどから同僚議員から何人か質問
出ていましたけれども、格差が民主主義の仕組みを
脅かすという指摘、政治参加、影響力の格差という
観点から阿部参考人にお伺いしたいと思います。

これもまた若い世代の投票率という観点に置き換えて
少し考えてみたんですけれども、格差が民主主義の
仕組みを脅かす。そして、日本においていえば、先ほど
グスタフ参考人の方からスウェーデンでは高い投票率によって
今の制度が構築されているというお話がありました。

日本においては社会保障の給付、例えば現金給付にしては、
ほとんどが年金に充てられていて労働保険ですとか
生活保護になかなかそのお金が振り向ける余地がないと
言えばそれまでなんですけれども、そういうような状態にあります。

そういった中で、例えば2年前の参議院選挙の投票率を
概観いたしますと、高年齢者層ほど投票率が高く、若い世代に
行けば行くほど残念ながら投票率が低い、しかもかなり低いと
いうような状況にあります。

そういった中で、もちろん、幸福が感じられない政治に
希望を持てない、バブル崩壊後に社会に出た、そういう
背景はあるんですけれども、政治参加をしていかなければ
なかなかその若い世代、そして子供の貧困に対して焦点が
当たっていきにくいのではないかという、そういう疑問点を持っています。

阿部先生の論文の中でも、「もともと、アメリカ国民の政治
参加は、選挙行動でみると所得が高い層に偏りが生じていた。」
というふうに書かれておられます。

そういったことも含めて、アメリカにおける政治参加の
影響力と日本における投票率とは一概には比較はできないと
思うんですけれども、もし何らかの御示唆いただければ、
いただきたいと思います。

○参考人(阿部彩君)

おっしゃるとおりに、投票率というのを見ますと明らかに
世代間の格差というのがありますし、それを今の、例えば
子供の貧困ですとか社会保障給付での高齢者と若者に対する
給付の割合の差というのに結び付けることは簡単なんですが、
私は日本の格差問題を世代間問題とすり替えるべきではないと
いうふうに思っています。

例えば貧困率一つを見てみても、アメリカからちょっと話は
外れますけれども、日本の貧困率を見てみても、高齢者の
貧困率の方が若者の貧困率よりも圧倒的に高いです。
特に高齢女性ですとかの貧困率は非常に高いものがあります。

ですので、高齢者対若者ではなくて、高齢者の中でも
貧困者があり、そうでない層があるという、すごく大きな、
一番格差が大きい世代ですね。

若者の中でもうまくエスカレーターに乗れる人もあれば
そうでない人もあるわけですね。ですので、そこのところを
ただ単に世代間的に問題をとらえてしまうと、それを、妙な
世代間抗争みたいなのをよりあおってしまうんではないかな
というふうに私は思っております。

ですので、社会保障関連給付に関しても、高齢者の方が
多くて子供の方が少ない、若者の方が少ないということで、
じゃ高齢者のをカットしてそれで若者に回すというのは余りにも
短絡的な発想であって、そうじゃなくて、高齢者の中でもだれが
必要か、若者の中でもだれが必要かということはもう少しきちんと
見ていく必要があるのではないかというふうに思っております。

○吉川沙織君

ありがとうございました。
同じ世代の中でもだれが、そしてだれに
必要かというようなお話、すごくよく分かりました。

最後に、生活保護についてお伺いしたいと思います。
加藤参考人に。フランスの中では社会保護の中に入って
しまうのかもしれませんが、生活保護の漏給問題というのは
フランスにおいても問題としてとらえられているんでしょうか。

○参考人(加藤智章君)

済みません、生活保護、何問題ですか。

○吉川沙織君

漏給問題。日本では、本来受けられる人が
六百万人ぐらい受けられていないというような状況が
あります。フランスでは、同じような問題は見受けられるんでしょうか。

○参考人(加藤智章君)

これは、阿部参考人の話にもございましたが、フランスの
場合も日本におけるような生活扶助というような費目は
ございませんので、例えば若年者であるとか失業者で
あることに対して所得保障するということなんですね。

漏給というのは、どうなんですかね。確かに、フランスにも
ホームレスみたいな方もいらっしゃいますから、そういう人たちに
対して手が差し伸べられていないという側面はあるんだと思いますが。

具体的にこういう問題として出ていますということは、
今述べる能力はありません。申し訳ございません。

○会長(矢野哲朗君)

ありがとうございます。よろしいですか。

○吉川沙織君

はい。ありがとうございます。