吉川さおり 参議院議員(全国比例)

国会質疑録

第174通常国会/総務委員会議事録(2010年3月19日)

2010年3月19日

3. 防災行政無線の整備率

○吉川沙織君

昨年4月の北朝鮮、最初は政府からの答弁は全部
飛翔体だかロケットだかなんという答弁がたくさんあって
困ったんですけれども、結局は弾道ミサイル発射が
されたわけです。

このときに、Jアラートとそれを自動起動するための
防災行政無線の整備があるにもかかわらず、実は
瞬時に知らせない自治体がありました。市職員が真偽を
確かめた上で放送する、誤報だった場合は混乱を招く
という理由からという報道でした。

是非、今大臣から御答弁いただきましたけれども、訓練等
を通じて国民の皆様にも、そして自治体にも信頼を得る
システムにしていくことで、命を守るシステムとして機能
させていただきたいと思います。

そこで、その受信環境は多分来年度中に整うことに
なると思いますが、人の手をいかに介さずしてその情報、
命を守るための情報を伝達するかということが重要な
ポイントになると思います。Jアラートの運用状況については、
先ほど渡辺副大臣からも御答弁いただきましたが、334の
市区町村で受信ができるということでした。しかしながら、
ミサイルにしても地震にしても津波にしても、そのときは
1、2秒を争う事態です。

でも、そこで自動起動をして瞬時に、4秒から22秒で
伝えることができなければ、10分以上の時間を要する
ことになって、人の命が守れないということになってしまう
かもしれません。334で受信ができても、自動起動できるのが
今282、来年度中に受信だけはできるかもしれませんが、
その先に市町村の防災行政無線が整備をされていなければ、
人の命を守る情報が伝達できないことになりますので、
現在の市町村の防災行政無線の整備状況について
副大臣にお伺いいたします。

○副大臣(渡辺周君)

お尋ねの市町村の防災行政無線、同報系ですね、平たい
日本語で言うと屋外拡声スピーカーとでもいうんでしょうか、
いわゆる屋外拡声のスピーカーですけれども、これは平成
21年3月末現在で、市区町村1,800団体のうち、1年前
ですね、1,800団体のうち1,362団体、整備の率でいいますと
75.7%でございます。

○吉川沙織君

今、平成21年3月末現在で75.7%という御答弁を
いただきました。その前年は75.5%でございますから、
1年間で0.2%しか上昇をしていないということになります。

そしてまた、整備率が約75%ということであるならば、
残る4分の1の住民の皆様には命を守る情報は瞬時に
伝わらないということにもなってしまいます。ちなみに、
副大臣御地元の静岡では、私、平成13年からしか
調べていないですけれども、平成13年時点で100%と
なっておりましたので、静岡はいろんなことで進んでいる
のかなというのを思いました。

防災行政無線の整備率、いろいろさかのぼって調べて
みました。平成15年3月末から順に66.8、67.8、70.1、
74.6、75.2、75.5、そして今御答弁いただいた75.7となっており、
確かに年々上昇はしているようです。

しかしながら、この時期、平成の大合併の時期と
重なっており、整備率というものは整備済団体数の
市町村数に占める割合でありますから、母数である
市町村数が減少すれば相対的に整備率は上昇する
ことになると言えます。

そしてまた、市町村合併して、片方の市区町村に
それが整備されていれば、一方の市区町村に整備
されていなくても整備済団体として計上されてしまう
ことになりますので、必然的に上がるということになります。

そこで、去年の1回目の質疑の際に、消防庁の方に、
命を守るための情報整備でありますから、実態を
踏まえた調査をすべきではないかと申し上げましたところ、
その次のときにはそれに引き直した整備率は70.9%という
御答弁をいただきました。

そこで、現時点での、市町村合併を加味しない、つまり実質の
防災行政無線の整備率について副大臣にお伺いいたします。

○副大臣(渡辺周君)

吉川委員の大変指摘はもっともでございまして、今御指摘が
あったのが平成16年3月末のいわゆる平成の大合併前の
ベースで算出してみたらいかがかということでございます。

平成21年3月末現在、これは先ほど申し上げた75.7ですが、
16年3月末現在の市区町村数をベースに算出すると71.1%で
ございまして、委員御指摘のように、A、B、Cの町が3つ一緒に
なったと、BにはあるんだけれどもAとCにはないと。

だけれども、一緒になればこれは整備されていることになると。
じゃ、しかし、その同報無線が本当に、そんな広い行政区域の
中でどこまで効果を上げているかというと、これ非常に様々だと
思います。

それだけに、この数字も、私たち、まさに合併前のベースで、
本当にかつての行政区域内にやっぱり一つあるという形で
やるべきだと思いますので、先ほどのいろいろな交付金、
あるいは防災基盤整備事業の財政支援措置というのがあります
ので、これは徹底して漏れがないように、住民の皆さんのところまで
同報無線が行き届くようなやはり努力をさせるように指導してまいり
たいというふうに思っております。

○吉川沙織君

実質、市町村合併の効果を加味しない形では去年は70.9%。

今、渡辺副大臣から71.1%、これも0.2%しか上がっていない。
しかも、公表しているのであれば75.7なんですけれども、
そうではなければ、実に3割の住民の方に命を守る情報が
即座に伝えることができないのであれば、私、個人的には、
Jアラートももちろん大事なんですけれども、その基礎となる
やっぱり防災行政無線の整備が必要不可欠ではないかと思います。

去年4月の弾道ミサイルのときは、あれは予見をされた。
今回の津波の情報も、ある程度来る時間が想定されましたので、
自治体の職員の皆さんは待機をしてその情報を受けることが
できましたので、すぐに皆さんに伝えることができましたけど、
実は総務省消防庁がこんな資料を公表しています。

地方公共団体における総合的な危機管理体制の整備に
関する検討会における「地方公共団体における総合的な
危機管理体制についての調査」、これは平成19年3月
公表ですけれども、地方公共団体で守衛以外の職員等も
加わって24時間体制を取っている団体の割合を見た場合、
市レベルでは30%しかありません。

しかも、この場合の市は各指定都市及び指定都市を除く
各道府県庁所在地の市でこの割合ですから、一般市に
なると24時間体制でだれかが何かがあったときの情報を
受けられるような体制ではないということですから、余計に
私は、やっぱり自動起動できる、上物をちゃんとやるのであれば、
情報を伝えるための整備というのはしっかりしなければならない
ということで質問をさせていただきました。