吉川さおり 参議院議員(全国比例)

コラム

公的統計の重要性

2021年12月18日
  • 2017年3月9日総務委員会

「またか」「やはり」今回もそんな思いにさせられた報道だった。

国交省による統計書き換え事案。

2018年12月末に一報があり、2019年常会で大きな問題となった厚労省による統計不正事案が記憶に新しいところではあるが、私はその2年前、大きく報道されることも問題視されることもほとんどなかった経産省の統計不正事案発覚以降、統計行政について機会あるごとに国会質疑で取り上げている。

経産省の統計不正事案が報じられたのは2016年12月26日。

今回の国交省事案のように新聞一面で報じられることもなく、小さな記事だったが、統計等データは政策や法制定の基本、つまり国家の基本であるとの思いから、報じられてすぐ経産省に事実を確認した。

当時も議運筆頭理事の任にあったことから質疑の機会は限られていたが、2017年の常会が始まって最初の質疑の機会にこの問題を取り上げた。

2016年12月26日に報じられた経産省の統計不正事案は、不正の原因を究明しようにも調査票が廃棄されていたことや、不自然に見えないよう6年間かけて数字を操作したことなど、今回新たに発覚した国交省の事案とも重なる点がある。

また、経産省の不正事案発覚は外部からの指摘であり、国交省は会計検査院の指摘がきっかけとなっており、内部の自浄作用が働いていない点も重なっている。

統計等データが不正に操作されたり書き換えられたりすることは、国家の基本を揺るがす大きな問題であり、行政による不当な活動そのものである。

行政監視とは、このような行政の不当・不正な活動を質すことであり、事実確認と二度と繰り返さないための原因究明等は与野党の別なく立法府の役割である。

参院の行政監視委員会こそ定例日に毎週開会し、与野党にかかわらず事実を解明するべく淡々と質疑すべきだろう。

ところで、直近の統計法改正は2018年5月に成立したが、当時は総務委員会筆頭理事の任にあったことから、附帯決議の最初の項目に統計の重要性について思いを込めているので、改めて紹介したい。

参議院はほとんどの法案において後議の院であり、良識の府として、最初の項目で統計の重要性を謳ったものである。


参議院総務委員会(2018年5月24日)

一.公的統計は、国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であることに鑑み、公的統計の作成及びその前提となる調査に当たっては、正確性・信頼性の確保に万全を期すこと。

衆議院総務委員会(2018年5月17日)

一.事業所母集団データベースに記録されている情報を利用できる公的統計の作成主体の範囲が拡大することを踏まえ、新たに利用できることとなる地方公共団体等に、当該データベースの利活用について、必要な助言及び情報提供を行うこと。


なお、この統計法改正において、私が「束ね法案」と同様に取り上げ続けている「包括委任規定」が含まれていることもひとつのポイントであるが、これは「包括委任規定」全体の問題として別の機会に譲りたい。