吉川さおり 参議院議員(全国比例)

コラム

議員と「先生」

2022年2月12日

前回のコラム「教員不足の実態調査」で教師のことについて書いたこともあり、この際、ずっと気になっていることを書いてみたい。

私は参議院に議席を預かる前から、いわゆる「先生」と呼ぶ職業は学校の教師と医師、弁護士までと考えている。

よって、私が考える「先生」と呼ぶ職業に議員は入っていない。

しかしながら、永田町では議員を「先生」と呼ぶのが一般的であり、議員活動15年目でも実は未だに違和感だらけである。

会社員時代、他の部署は必ずしもそうではなかったが、私が所属した部署は比較的フラットで、どの役職の先輩に対しても、大抵「〇〇さん」と呼んでいたし、そうしている社員が多かった。もちろん、お客様の前やしかるべき場所での使い分けはきちんとしていたが、社内ではほぼ「〇〇さん」で通した。

私なりのこだわりは2つ。

1つは、課長とか部長とか役職名だけで呼ぶことは、逆にいえば、AさんとかBさんといった名前を覚えなくても済むことにつながり、AさんとかBさんとか覚えたくない人に対して役職だけで呼びさえすればいい、ということにしたくなかったこと。

2つは、その役職や会社を離れたときの呼び方も同じでありたいという思いがあったこと。
たとえば、本社への本配属時から約3年半お世話になった上司は、当時も今も変わらずOさんと呼んでいる。

永田町、特に衆院議員は任期も短く議員数も参議院の倍であり、入れ替わりも激しいため、議員の名前を覚えるのも大変だろうから、そういった意味で「先生」と呼ぶのは合理的だという考え方もあろうし、この議員は「先生」と呼ばないとどう思われるかなぁ、ベテランだしそう呼ばないと失礼かもなぁ、などと考えながら使い分けるのも大変だという考え方もあろう。

私は極力、〇〇さんと呼ぶようにしているが、それでも前述の後者の方の考え方が頭をよぎり、〇〇先生と呼ぶことも多い(なお、党内は〇〇さんと呼び合っている)。

議員の私がそうである以上、立法府や行政府の職員なら、誰であっても議員を見れば「先生」と呼ぶのが最も合理的、かつ危険回避(?)なのかもしれないと考え、とりたてて「先生」と呼ばないで、とは言ってこなかった。

だが、せっかくなので私自身の思いを書くと、国会議員は憲法の規定にあるとおり、国民の代表ではあるが「先生」ではないため、永田町の中であっても「先生」とは呼ばれたくないのが偽らざる思いである。

全国を回っているときは、例外なく「吉川さん」と呼ばれるし、会社員時代の先輩は、今も変わらず「吉川」と呼んでくれる。これが普通で自然のことであり、永田町が不自然なのである。

私が「先生」と呼んでもらって嬉しいのは教育実習時の生徒だけ。生徒の1人は、大学の後輩となり、私と同じように教育実習を経た後、教師として活躍している。最近どうしているか久々に連絡をとってみようと思う。