吉川さおり 参議院議員(全国比例)

国会質疑録

内閣委員会(2023年12月5日)

2023年12月15日

内閣委員会で45分間の質疑に立ちました。

参議院で17年目の国政活動ですが、内閣委員会で質疑に立つのは今回で2回目です。初めて内閣委員会で質疑に立ったのは、2021(令和2)年6月8日の土地利用規制法案(新規制定法案)のときで、90分間(1時間30分)の質疑に立ちました。

今回、内閣委員会で質疑に立ったのは、官報電子化法案と官報整備法案で新規制定法案であることが前回との共通点です。

旧憲法下では法的根拠を有していた官報ですが、現行憲法下においてはあくまで慣習法として発行されてきました。つまり、官報に関する法律は存在せず、掲載事項だけは内閣府令において定められていますが、今回、電子官報を正本とするにあたり、法制定の必要性が生じたため、新規制定法案の国会提出となったものです。

ただし、官報は法令の公布などを掲載することから、国民の権利義務等にも密接に関係するとても大事な刊行物でもありますし、これまで行政裁量の大きい官報ですが、法制定の運びとなった以上、法制定のプロセス、法律の立て付けと条文の在り方、これまでの運用と今後の運用課題、官報と国会の関係など多岐にわたって確認すべきことがたくさんありました。

法制定のプロセスにおいては、官報電子化検討会議の議事概要(ほぼ議事録)をすべて読み、その時期と会議のまとめとして出された「基本的考え方」との関係性、国会提出のタイミングがまず問題となりました。検討会議を経て示された「基本的考え方」は10月25日公表、今回の官報法案の国会提出は10月31日であり、間隔が短すぎるのです。

背景には様々な事情があるものと推察もされますが、これでは検討会議の議論と法案作成のための作業が完全に平行して行われたこととなり、検討会議を経てまとめられた「基本的考え方」を反映した法案作成作業というには少し無理が生じてしまいます。

また、衆議院段階の議論から施行日までにシステム改修等が間に合うのか等についても確認を行った後、法律の条文全体の立て付け、とくに私がずっとこだわりを持って取り上げ続けている「包括委任規定」について取り上げました。

官報はそもそも慣習法で発行されてきたものですから、行政の裁量が大きい部分は理解をするところです。しかしながら、法を制定する以上、条文に書けるものは書くべきであり、内閣府令に委任するとしても限度があるはずです。また、本法案には内閣府令への委任はそれぞれの条文でも本当に数多く出てきますが、政令委任はひとつもありません。

これらの理由を確認するとともに、第17条の包括委任規定の問題点やこの条文や国民の権利を制限したり、義務を課したりするものではないことの確認をとりました。

第17条は、「この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、内閣府令で定める。」としており、何を内閣府令で定めるとするのかの例示がまったくない条文です。

つまり、細目的事項を具体的に明示せずに実施命令の根拠規定を法律に儲けようとするものであり、「法律による行政の原理」の意義を埋没させるおそれがあるとともに、立法府の空洞化を将来しかねないといった問題点を抱えており、私は「束ね法案」とあわせて指摘を重ねています。

同じような包括委任規定は、2021(令和2)年6月に内閣委員会で質疑に立った土地利用規制法案にも置かれており、法制定時点で双方とも何かを規定する具体的な想定はなく、念のために置かれた条文であることは委員会での内閣府官房長からの答弁でも明らかです。

やっぱり、私は立法府の一員としてこのような条文は避けるべきであるというスタンスにかわりはありませんし、このような条文を置こうとする法律案を見つけ、質疑の機会等があればきちんと指摘していきたいと考えています。

法案全体にも通底する条文の在り方について問題点と指摘した後は、個別具体の例に入るとともに、国会と官報との関係なども質疑しました。

国会に関する事項も官報に掲載されていること、委員会運営と官報の印刷時間と関係があること、憲法に規定のある本会議の会議録は官報号外として発行されていることなど、様々な例を挙げながら国会と官報の関係を明らかにするとともに、正本が電子化になることの影響についても確認しました。

私自身、官報の歴史を紐解いたのは今回の質疑がきっかけではありますが、国会の会議録についてはかねてより関心事項であり、官報号外として発行されていること(委員会会議録は官報号外ではありません)や保存の在り方についてはこれからも調べたい内容ですし、会社員時代には、官報政府調達公告版をチェックすることは毎朝の習慣でしたので質疑の機会をいただけたことをとても感謝しています。

今後は、閲覧期間等を終えた官報は公文書館に移管され、特定歴史公文書等として永久保存されることとなります。この辺については、質疑時間が前回並みの90分間あれば国立国会図書館との関係も含めて掘り下げることができたと思うのですが事実の確認で終わってしまいましたので、別の委員会で機会があれば公文書管理法(これもこだわりのテーマです)と関連して取り上げたいと思います。

[質疑項目(官報法案、官報整備法案)]

1.法案提出のプロセス[内閣府]

・法案提出のスケジュール
・施行日とシステム改修の関係

2. 法律全体の在り方としての包括委任規定[内閣府]

・法第17条を包括委任規定とした理由
・法第17条における「内閣府令で定める」事項
・政令と府省令の違い
・包括委任規定と国民の権利義務との関係

3.内閣府令委任事項の個別例[内閣府、参議院]

・閲覧期間
・業務の委託(想定している委託先、原稿作成についての委託先明示必要性)
・官報掲載事項
現在の官報掲載事項の根拠、根拠の一つの掲載事項
国会事項の詳細(参院)、国会事項の今後、官報と委員会運営(参院)
・官報の種別と官報号外たる国会会議録
官報の種別、官報号外の説明、種別と内閣府令
官報と国会会議録(参院)

4.今後の官報保存と位置付け[内閣府]

・電子化された官報の保存場所(改正後保存、現在保存、図書館との関係)
・特定歴史公文書としての官報