吉川さおり 参議院議員(全国比例)

国会質疑録

決算委員会(2021年5月17日)

2021年5月27日

決算委員会で30分の質疑に立ちました。

決算委員会で質疑に立つのは、2016(平成28)年4月20日以来のことですが、この時も国会所管の部で質疑に立っていますので、当時との決算の比較から質疑に入りました。

国会所管歳出決算から議案類印刷費について取り上げました。前回の質疑時対象決算は、平成26年度で今回は令和元年度決算です。よって、平成26年度と令和元年度決算における議案類印刷費と、そのうち会議録に関する費用の推移について、参議院事務総長、衆議院事務総長、それぞれに問いました。

2016(平成28)年の質疑時より、低減傾向が顕著であることが明らかとなりました。

前回質疑の際、参議院規則にある「印刷して各議員に配付する」とされた条文番号をすべて挙げたうえで、時代背景や財政環境に鑑みて見直す必要性について指摘し、その後、ペーパレスの取組が一定程度進んだ結果です。

また、議案類印刷費に含まれる会議録については、憲法第57条に規定される重要なものであることから、改めて参議院事務総長、衆議院事務総長に答弁を求めました。

会議録は、議会制民主主義にとって大変重要な役割を担い、院に永久に保存される宝物です。だからこそ、その会議録に事実と異なる答弁があってはならないのです。

これに関連して、2020(令和2)年12月25日の議院運営委員会は前内閣総理大臣の答弁の訂正に関する件について、参考人として前内閣総理大臣を迎え、開会しました。

前総理が総理として行った国会答弁に事実と異なる部分があったため、その答弁を訂正するための委員会を開会して欲しいとの申し入れが、2020(令和2)年12月24日、衆参両院議長に対してなされたためです。

前総理が衆参両院の本会議や委員会で行った事実と異なる答弁は、法規先例上、今更訂正することはできません。

であるならば、どの部分が事実と異なり、どの部分が事実に反するのか明らかにしていただく必要があるとの思いで、2020(令和2)年12月24日の議運理事会でも、翌25日の議運委員会でも、それ以降の議運理事会でも与党側に求め続けています。

しかしながら、未だその資料が提示されないことから、衆議院調査局、参議院調査局が次の3点(1.事務所の関与の有無、2.明細書の有無、3.差額の補填の有無)について、2019(令和元)年11月20日から2020(令和2)年3月4日までの衆参両院の本会議、委員会で前総理が答弁している回数の答弁を求めました。

上記3点についての調査結果は、衆議院118回、参議院122回でした。

衆参の調査結果で違いがあるのは、当然のことです。事実と異なる部分については、答弁者たる前総理しか分かり得ないからです。事実に反する会議録が、そのまま公開されてしまっている状態に相違なく、憲法に規定される会議録の信頼性が揺らいでしまいます。

法規先例上、会議録の訂正はできないとしても、事実に反する箇所が明確にならなければ説明責任を果たしたことにはならないのではないでしょうか。

行政府の長たる総理の答弁であり、これを明らかにすることが行政監視の観点からも必要であることから、参議院の行政監視機能強化へと質問をつなぎました。

2018(平成30)年6月1日、参議院の意思として参議院改革協議会報告書「参議院における行政監視機能の強化」が各会派合意の下、とりまとめられました。

本報告書がとりまとめられてから、3年が経過することに鑑み、また5月12日の倫理選挙特委でも取り上げたことから、この間の活動実績等について確認しました。

新たな行政監視の年間サイクルの起点となる本会議質疑が初めて行われたのは、2020(令和2)年6月5日です。

その後、行政監視委員会(親委)及び小委員会(小委)が質疑を行った日付、閉会中審査の有無、委員数の増員経緯、同じく参議院改革の一環として機能強化された決算委員会との比較を行いました。

一つ一つ事実を積み重ねると、参議院改革協議会報告書は、高らかに行政監視機能強化をうたい、2018(平成30)年改正公選法(定数増+導入枠創設)の発議者(自民)答弁では、閉会中審査を行うこと、小委員会を複数設けること、省庁の問題や不祥事に常時目を光らすこと、と繰り返し答弁があったにもかかわらず、この間の活動実績が低調であったことが改めて明らかになりました。

参議院改革協議会報告書に基づき、開会を求め続けたにも関わらず、です。

国会における行政監視とは、行政の誠実ではない活動、行政による不正あるいは不当な活動を国会で質すことです。立法府が事実関係を質すことについては、与野党を問わず、その権能の発揮であり、異論はないはずです。

行政監視機能の強化を本院の活動の柱として、会派間で合意した参議院改革協議会報告書は、国民に対する本院の意思表示ですので、具体化に向けてあきらめずに取り組んでいきたいと思います。

 

[質疑項目(令和元年度決算外二件・国会所管)]

1.令和元年度国会所管歳出決算(議案類印刷費)[参議院、衆議院]

・平成26年度と令和元年度決算における議案類印刷費と会議録の費用の推移
・会議録の重要性
・前内閣総理大臣の衆参両院議長への申し入れ内容(令和2年12月24日)
・会議録訂正のルール
・事実と異なる答弁回数

2.参議院改革協議会における行政監視機能強化[参議院]

・行政監視委員会の開会実績
・行政監視委員会の閉会中審査の有無
・行政監視委員会の委員数

3.行政監視委員会における調査項目選定と自由な質疑[参議院]

・令和2年4月13日「行政監視機能の強化に関する申合せ」の内容
・「行政監視機能の強化に関する申合せ」における調査項目の選定
・参議院規則第42条「議題に関する委員の発言」
・行政監視委員会の調査事件名

4.決算委員会と行政監視委員会との比較[参議院]

・決算委員会の委員数
・決算委員会の審査過程