吉川さおり 参議院議員(全国比例)

国会質疑録

総務委員会(2022年3月16日)

2022年3月20日

総務委員会で30分間の質疑に立ちました。

3月8日の総務大臣の所信に対する質疑に続き、2週続けて質疑に立ったこととなります。今回は、令和4年度総予算3案に対する委嘱審査で質疑に立ちました。

予算案に対する委嘱審査でもあることから、まずは国税・地方税の収入に関し、また1期目から継続して確認し続けている事項について2年ぶりに問う質問から始めました。

2007(平成19)年の初当選、国会初質問時から継続して取り上げ続けている就職氷河期世代に関する課題のひとつで、就職氷河期世代が正規雇用になれないことによる国税(所得税)、地方税(個人住民税)に与える影響額です。

これまで、若年者雇用全体に与える影響額としては民主党政権時に初めて試算が出ましたが、試算を出してもらうまでには幾度も国会で問題意識を訴え、正確な事実を把握し、把握の先に対策があるとの思いで質疑を重ねた結果、ようやく試算が出たものです。

2017(平成29)年以降は、若年者雇用全体ではなく、対象を就職氷河期世代に絞った試算に切り替えてもらい、直近では2020(令和2)年3月に確認したのが最後でしたので、最初に直近の影響額について問いました。やはり、影響額は大きいと言わざるを得ません。

ただ、前提や仮定に何を置くかで影響額も大きく変動しますので、今後も注視するとともに、就職氷河期世代が年金受給世代になった際の生活保護費の試算も重要になります。こちらは、民主党政権時に一度出たきりです。

生活保護費を含む社会保障費は総予算に占める割合が非常に大きく、看過できない問題です。直近の生活保護受給世帯の年齢構成を見ても、65歳以上の方で約半数を占めていますが、今の65歳以上は就職氷河期に関係がありません。だからこそ、今から試算して備えるべきなのですが、試算すら後ろ向きであることは現実を直視しないことにつながってしまいます。

つぎに、これも14年間にわたって確認し続けている防災行政無線の整備率について直近の数字を確認しました。公表されている整備率と実質の整備率について、双方継続して確認し続けています。

端的にいうと、公表されている整備率=市町村合併後の整備率、実質の整備率=市町村合併前の旧市町村単位に置き換えた実質の整備率、ということになります。

つまり、A町とB町が合併してC市になったとします。A町は整備済み、B町は未整備であったとしても、C市は整備済み団体として計上されています。この場合、旧B町には実質整備されていないにもかかわらず、見かけ上は整備済み団体になってしまいます。

よって、市町村合併前に置き換えた実質の整備率について10年以上確認し続けているのです。事実、公表値と実質値にはこれまで4%程度のかい離が存在していました。ところが、2020年8月26日の災害対策特別委員会で確認したところ、これまでと違う傾向値が示されたのです。

継続して確認していたからこそ判明したのですが、これまで防災行政無線の整備率に計上していなかった「同等」の機能を有するものについて計上をはじめたことに原因があることが分かりました。

であれば、統計の継続性や政策の連続性の観点から、それは参考値として示すことこそが重要ではないかと、2020年11月24日の総務委員会で質疑したところ、令和2年版消防白書から参考値として記載方法を改善していただくにいたりました。

このことについて改めて確認するとともに、統計等データが正確であることはもちろん、国民に対して誠実に数字を示すこと、公表の在り方も大事であることを指摘しました。

そこで、3月8日の総務委員会では大臣所信に対し統計行政を所管する総務省のみにこの間の統計不正事案を受けた再発防止策等について質疑しましたが、今回は国交省の統計不適切事案について国交省にも問いを重ねました。

2016(平成28)年末に発覚した経産省の統計不正、2018(平成30)年末に発覚した厚労省の統計不正事案を受けて、それぞれ統計の一斉点検が行われていますが、その点検結果の確認から始めました。

国交省の統計においては、経産省不正を受けての一斉点検で5調査、厚労省不正を更けての一斉点検では7調査指摘を受けており、そのうち4調査において二回とも指摘を受けている厳然たる事実があります。

これに始まり、今回の一連の不適切事案を受けて答弁に整合性がとれないことも今回の質疑で明らかになりました。今回の不適切事案が統計に与える影響は「軽微」であるとしていた前提が崩れ、根拠がないことが判明したのです。詳細は割愛しますが、これをやり過ごすようなことがあってはならないと思います。

3月8日の総務委質疑において、大臣から今回の国交省の事案は統計法の基本理念に反する旨、答弁がありましたが、今回の質疑においては、統計法違反ではないかとの問に明確に答弁はありませんでした。今回の事案が統計法違反に該当しないというのであれば、いつ適用されるのか分からない法律になってしまいかねません。

これからも継続して取り上げていきたいと思います。

[質疑項目(令和4年度総予算3案に対する委嘱審査)]

1.就職氷河期世代に対する施策の在り方[総務大臣、財務省]

・就職氷河期世代が非正規雇用であることが国税・地方税に与える影響額試算

2.防災行政無線の整備公表の在り方[総務省消防庁]

・防災行政無線の整備率、実質的整備率
・統計の継続性観点からの公表の在り方
今後の統計の取り方についての確認

3.国交省の統計不適切事案[総務大臣、国交省]

・2回の一斉点検で指摘された国交省所管統計
・建設工事受注動態統計調査の結果の利用
・建設総合統計の算出根拠となる統計
・統計の一斉点検を受けての改善状況
・受注統計不適切事案が建設総合統計に与える影響
・調査票の残存期間
・調査と遡及の優先順位の必要性
・国交省の統計不適切事案と統計法