吉川さおり 参議院議員(全国比例)

事務所だより

議院運営委員会(2021年9月28日)

2021年10月5日

議院運営委員会で質疑に立ちました。

緊急事態宣言にかかる国会報告の場としての議院運営委員会であり、9月末日をもって四度目の緊急事態宣言の解除とまん延防止等重点措置の解除となるために開会されました。

今年の通常国会が6月16日に閉会した後、三度目の緊急事態宣言解除、四度目の緊急事態宣言発出、延長、再延長、再々延長など8回にわたって国会報告が行われました。

この閉会中には、東京オリンピック・パラリンピックも開催され、新規感染者数、重症者数とも過去最多となる中、憲法の規定に基づき召集を要求したにもかかわらず臨時国会は召集されず、特措法上、宣言発出等を決定する立場である総理の出席も、この間、得られませんでした。

今回の国会報告は、緊急事態宣言もまん延防止等重点措置もすべて解除=終了することや、総理が退陣を表明され、最後の機会となることから、ようやく政府対策本部長たる総理の出席が得られました。

今回、総理の出席が得られたことから、議運委員会の理事を務める私が質疑に立たせていただきました。

持ち時間は、12分と短いことから3月18日に総理に質疑した内容と答弁を踏まえ、今後につながる質疑内容としました。

今後の政府方針を尋ねたとしても、政府対策本部長である総理は交代することになりますので、いかに次につなげるか、との観点で以下の2点に焦点を当てた組み立てとしました。

〇この間の取組の効果検証をEBPMの観点から行う必要性と行政の継続性の観点から次の内閣に引き継ぐ必要性

〇国会報告の場の意義と重要性

今回、解除となった四度目の緊急事態宣言は、発出を決めた7月8日の総理会見においては、当初期限である8月22日より前倒し解除について言及がありましたが、結果として1か月以上も延長されました。

デルタ株の感染力高さ以外にも、オリパラの影響、医療ひっ迫を目にしたことによる行動変容があったのか等、いわゆる第5波に関わる様々な要因を検証・分析し、今後の対策に活かす必要があります。

四度目の宣言下、8月12日の「新型コロナウイルス感染症対策分科会」において、「東京都の人流を7月前半の5割削減」が目標に設定されており、これに関しては議運の国会報告でも8月17日に大臣から言及もあったことから、今回、これが達成できたのかについて問うたところ、できていないことが改めて判明しました。

コロナ分科会の都内の人流5割削減の目標設定にあたっては、コロナ分科会委員から「科学的根拠の提示を」と議論がありましたが、結局、根拠は示されないまま、しかも目標は達成できていないにもかかわらず、9月下旬になって新規感染者数は一気に低減しています。

9月27日の厚労省アドバイザリーボードにおいても厚労大臣が、「なぜ減っているのか。よく分からずに減っているということは、また増える可能性が十分にある」としていますし、西村大臣も国会報告の場で「感染再拡大の波は何度も来る」と繰り返し答弁されていることから、検証の必要性について大臣に問うたあと、総理に問いました。

3月18日の議運委は、直近で総理が出席した国会報告の場ですが、その場で検証体制の整備について総理からは前向きな答弁がありました。質疑から半年以上経過していることを踏まえ、体制整備ができたのか、また感染拡大が落ち着いた後の課題とするのであれば、「行政の継続性」の観点から、次の内閣に引き継ぐべきではないか、と総理の見解を質しました。

総理からは、検証は厚労省と内閣官房コロナ室であること、引き継いでいくべきことであるとの答弁がありましたので、引き続き立法府の立場から見ていきたいと思います。

次に立法府の機能発揮と国会報告の場の意義と重要性について、憲法第53条に基づき臨時国会の召集要求をしているにもかかわらず、その義務を負う内閣が結局この間応じなかったこと、この間、感染急拡大が起こってしまったことなどを指摘したうえで、国会報告の冒頭に行われる大臣報告について取り上げました。

3月18日4月23日の国会報告の場である議運委での質疑において、国会報告の当日朝、必ず毎回開催されている「基本的対処方針分科会」での議論について、国会報告の意味を考えれば、その内容を報告するべきではないか、と提案申し上げ、その後、当日朝の議論の内容について報告をいただけるようになりました。

そのことについて感謝しつつ、他方、国会で議論してほしい、やるにしてもやらないにしても、まず国会で議論してほしいとの意見が多数出された分科会の内容が報告されなかったことについて、政府自ら選任した委員の意見の軽視であること、立法府に対しても不誠実であることを指摘しました。

これも一言一句の分科会議事録が残っているから指摘できることですので、やはり記録を残すことは未来につながることですし、後世の国民に対する責任だという思いを新たにしています。

菅政権で国会報告の議運が行われたのは、今回で23回目です。うち、総理の出席が得られたのは、最後の今回を入れて、たった3回にとどまりました。

国会報告の場においても、政府として国民にメッセージを伝え、危機感の共有に努めるべきではなかったのではないかということ、感染症対策にあたっての国民への説明の重要性に対する認識と国会報告の場の意義について、政府対策本部長たる総理に問うて、四度目の宣言解除にあたっての質疑としました。

[質疑項目(新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の終了に関する件)]

1.緊急事態宣言の効果検証の必要性

・「東京都人流5割削減」(8月12日)目標設定と今回の全面解除との関係
・第6波に備えた検証の必要性
・3月18日質疑を踏まえ検証体制整備の確認

2.立法府の機能発揮と国会報告の重要性

・緊急事態宣言下における基本的対処方針分科会での議論

3.国民に対する説明の必要性

・国民への説明の重要性と国会報告の場の意義